2011 Fiscal Year Research-status Report
全固体型単層カーボンナノチューブエレクトロクロミック素子の開発
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23651117
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
柳 和宏 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (30415757)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 電気化学 / 色変化 / エレクトロクロミック |
Research Abstract |
本研究は、レアメタルフリーの全固体型電気化学素子を実現することを狙いとして、研究代表者が成功した単層カーボンナノチューブ(SWCNT)カラー薄膜の色制御技術を発展させ、その基礎物性を解明するとともに、液体を用いない全固体型SWCNTエレクトロクロミック素子への展開を行うことが目標である。良好な色変化・安定性・応答速度を示す素子を創製することが目標である。今年度は、はじめに、二端子で駆動することを試みた。作用電極、対極に金属型SWCNT薄膜を用いて、イオン液体を利用して電荷の注入を行い、両極ともに色変化をさせることに成功した。市販の単三電池3本を直列につなげることで駆動できることを明らかにした。また、SWCNT内部に束縛された分子に対しても電荷注入可能かどうかの検討を行い、SWCNT内部に束縛されたカロテノイド色素分子の電荷制御も可能であることを明らかにした。素子構造の固体化を目指して、イオン液体からイオンゲルをもちいて実験を進め、イオンゲルを用いても色変化が可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高純度精製SWCNTの電気化学ドーピングに関しての基礎物性解明については、内包分子のドーピングが可能であることを明らかにし、順調に進展している。今年度中に、イオンゲルを用いた全固体型エレクトロクロミック素子を実現する予定であったが、動作の検証にとどまり、成果報告にまで至らなかった。イオンゲルを用いた研究をさらに促進する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
・全固体型SWCNTエレクトロクロミック素子に向けて、イオンゲルを用いた素子開発を行う。ポリマー基板上に金属型SWCNT薄膜を形成させ、それを電極として利用する。電解質にはイオンゲルを用いる。金属型SWCNT電極・イオンゲル・金属型SWCNT電極という3層構造を形成させ、電極間に電圧を加えることで色変化が可能かどうか検証を行う。イオンゲルに関しては、紫外光によってゲル化が起きる素材を用いる。得られた試料に対して、応答速度や繰り返し耐久性を明らかにする。色変化の鮮やかさを改善させる為、金属型SWCNTの更なる高純度精製を行う。薄膜形成におけるバンドル化が鮮やかさを劣化させる要因の一つである為、薄膜形成の際には、孤立分散性を高める為、現状ではTritonで分散させた溶液を利用して薄膜形成を行っているが、コール酸などの分散性の良い界面活性剤や、カルボキシメチルセルロースなどのポリマーで分散させた状態で薄膜形成を行うことを検討し、色変化の鮮やかさの改善を行う。・SWCNTにおける電気二重層形成を詳しく調べる為、高純度に精製を行ったC60分子内包SWCNTに対して電気化学測定を行い、内包C60分子のドーピング特性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度においては、分離精製や素子開発に対して主として研究を行い、本研究を最も効率良く成功させる為に必要な研究の進め方を検討した結果、分光実験等に利用する予定であった光学備品の購入を今年度は行わなかった。次年度の研究費は、エレクトロクロミック素子の動作検証に必要となるソースメータや、1μ帯におけるラマン測定に必要となる光学備品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(16 results)