2012 Fiscal Year Annual Research Report
ゲルを用いた金属型カーボンナノチューブの単一構造分離
Project/Area Number |
23651122
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 丈士 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究グループ長 (30415707)
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Keywords | カーボンナノチューブ / ゲル / 分離 / 金属型 |
Research Abstract |
平成24年度は、金属型カーボンナノチューブの構造分離を行うことを目的に実験を行った。前年度に段階溶出による方法と、カーボンナノチューブ分散液を過剰投与することによる競争的吸着による分離を行ったが顕著な分離を認めることが出来なかったため、今年度は、長いカラム(60cm)を用いて、クロマトグラフィーシステムにより溶出液組成を厳密に制御することで、分離の改善を試みた。分離用試料にはあらかじめ金属型カーボンナノチューブを分離精製したものを用いた。濃縮した金属カーボンナノチューブ試料を少量添加し、長いカラムを通過する間に分離が生じた。その結果、光吸収スペクトルでカーボンナノチューブ組成が明らかに異なるものが分画できた。ラマン分光によっても、異なる金属型カーボンナノチューブが分離されていることを確認した。分離されてくる順序には一定の法則性があるようであった。分離された試料を再分離すること、あるいは、さらに長いカラムを用いることによって、分離精度の向上が期待できる。 一方、ゲルを用いた金属型・半導体型カーボンナノチューブの分離原理解明に関する研究も行った。分離精製した金属型と半導体型カーボンナノチューブのそれぞれについて、ゲルに対する吸着を定量的に解析した。その結果、カーボンナノチューブとゲルの相互作用はLungmuirの吸着等温式に従うこと、その吸着はエントロピー駆動であること、金属型と半導体型のカーボンナノチューブとゲルの吸着定数が異なる結果分離されることを見出した。本成果は、金属型と半導体型のカーボンナノチューブとゲルとの相互作用を熱力学的視点から世界で初めて示したものであり、海外著名雑誌(ACS Nano, impact factor =11.4)に掲載された。
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Research Products
(4 results)