2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23651125
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
古川 一暁 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主任研究員 (40393748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比野 浩樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主幹研究員 (60393740)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | グラフェン / 電気化学 / エッジ修飾 |
Research Abstract |
1.電極の作製10 mm角のSiC基板上に1層グラフェンをエピタキシャル成長した。この基板を用いて、グラフェンのπ表面積が一定(0.5 mm2)で、エッジ長がそれぞれ2, 4, 10, 20, 50, 100 mm のグラフェン微細加工電極(エッジrich 電極)を作製することに成功した。同様の構造でπ 表面を完全にレジストで被覆しエッジのみが露出した電極を設計し、その作製法を確立した。さらに、一対の電極がかみ合った構造のくし形電極の設計・作製にも取り組み、こちらもほぼ作製法を確立した。2.電気化学計測測定用のデュアルタイプの電気化学アナライザを新規に導入した。作製した電極の電気化学特性を計測するための最適な方法の検討や試料配置のためのジグの作製を行った。作製したグラフェン微細加工電極のうち、上述のエッジrich 電極を用いて、一般的な酸化還元反応系(例えばFe(CN)6 3-/4-、Ru(NH3)6 3+/2+)に対する電気化学測定を開始した。サイクリックボルタモグラム(CV)の測定では、一部の電極で電極構造の低次元性に由来すると考えられる波形が得られた。ただし、実験数および実験の再現性には不十分な点が残っており、電極構造とCV波形との相関を明確に示すまでには至らなかった。再現性が不十分な点について、微細加工電極作製プロセスにおけるグラフェン表面の汚染が一因であることを懸念しており、この解決に向けた新規プロセスの検討を始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフェン微細加工電極の作製については、計画通りに進展した。この電極を用いた電気化学計測では、酸化還元反応に対するグラフェンπ表面とエッジとの寄与を完全に分離して評価するまでには至らなかったが、測定結果の一部に微細加工電極の低次元構造に由来すると考えられる応答を観測した。
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Strategy for Future Research Activity |
電極作製法はほぼ確立できたが、グラフェン表面の汚染の問題が残っている。微細加工電極のプロセスを一部変更して、清浄なグラフェン表面を有する電極作製法へ改良する。具体的な方策として、プロセスの一部をレジストフリーな工程に変更する。これと並行して、現行プロセスによって作製したグラフェン微細加工電極を用い、電気化学測定の数を増やす。グラフェン電極のπ表面とエッジとの電気化学反応への寄与を区別して評価することが最初の目標である。エッジの電気化学特性に関しては、エッジのみが露出した電極を用いた測定を先行して行なうことも考えている。さらに電位窓を超える印加電圧領域においてのグラフェン電極の電気化学反応を評価する。特に、エッジ選択的な化学反応活性状態の実現条件を見出すことを目標とする。この結果を、グラフェンエッジの選択的化学修飾(対象としてアミノ基-NH2 およびカルボキシル基-COOH)実現のステップとする。なお、本研究の提案段階では、研究開始2年目に1層グラフェン試料から2層グラフェン試料へと発展させる予定であった。この計画を見直し、対象を1層グラフェン試料に固定することにより、上述の研究内容に焦点をあてることとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
電気化学測定用の消耗品購入およびSiCウエハ購入等に使用の予定(総額80万円)。
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