2012 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒コヒーレントX線を活用した複雑系生体高分子の溶液構造可視化法の構築
Project/Area Number |
23651126
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西野 吉則 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (40392063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城地 保昌 公益財団法人高輝度光科学研究センター, XFEL研究推進室, 研究員 (30360415)
別所 義隆 独立行政法人理化学研究所, 機能解析第2研究チーム, 研究員 (70242815)
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Keywords | コヒーレントX線 / フェムト秒 / 生体分子 / 放射線、X 線、粒子線 / X線自由電子レーザー |
Research Abstract |
本研究の目的は、新世代のX線であるX線自由電子レーザー(XFEL)を用いた複雑系生体分子の構造可視化法を構築することにある。XFELがフェムト秒の時間幅をもちコヒーレントであることを活用し、溶液中で自然な状態にある生体分子を、分子の動きの時間スケールよりも短いX線露光で、止まった構造を可視化する未踏の手法を構築する。本年度は、環境セルの改良や、X線自由電子レーザー施設SACLAを用いたパルス状コヒーレントX線溶液散乱測定などを行った。環境セルは、測定装置内の真空中においても制御された試料環境下でパルス状コヒーレントX線溶液散乱測定を可能にする試料ホルダである。XFELのシングルショットで環境セルは破壊されるため、シリコン基盤にアレイ状に多数の環境セルを配置した構造を持つ。より効率的な測定のため、今年度は、アレイの要素数を増やす多窓化などの改良を行った。開発した環境セルに金のナノ粒子集合体やバクテリアなどの試料の溶液を封入して、SACLAを用いたパルス状コヒーレントX線溶液散乱測定を行った。試料からのコヒーレントX線回折パターンを、XFELのシングルショットで、高精度計測することに成功した。XFELの時間幅はフェムト秒と、試料の放射線損傷のプロセスが進行する時間スケールよりも短い。このため、超短パルスXFELを用いたコヒーレントX線回折は、試料損傷が起こる前の試料構造を反映しており、これまでの限界を超えた高い空間分解能での生体イメージングが初めて可能となる。測定したコヒーレントX線回折パターンから、試料像を再構成することにも成功し、成果を論文にまとめ投稿した。また、我々が提案するパルス状コヒーレントX線溶液散乱法の基本概念を含むレビュー論文を執筆しCurrent Opinion in Structural Biology誌に掲載された。
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Research Products
(31 results)