2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23651127
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木塚 徳志 筑波大学, 数理物質系, 教授 (10234303)
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Keywords | 分子操作 / 原子操作 / 電子顕微鏡 / ピエゾ素子 / 走査プローブ顕微鏡 / 原子間力顕微鏡 / ナノチップ / ナノクラフト |
Research Abstract |
現在のナノメートル構造を作製するボトムアップ法では、単一の微細探針でナノ粒子を吸着させ、基板上に配置するが、ナノ粒子の大きさ、組成、吸着・脱離性によって、扱えるナノ粒子の種類が制限されてしまう。本研究では、この制限を取り払いナノクラフトを発展させるため、いかなるナノ粒子でも、それらを観察しながら機械的に挟み、基板上に自由に配置できる手法の開発を提案し、実験を遂行した。具体的には、その場電子顕微鏡法による原子直視観察により、ナノ粒子の個別操作のための「メカニカル原子ピンセット」の開発を進めた。数ナノメートルの同種・異種の粒子や分子を挟み、基板上に種々の形状に配置し、これまでにないナノ構造を組み立て、その構造固有の物性を探索することを目指した。本年度は以下の2項目について研究を進めた。 1.前年度までに設計・製作した3軸ピエゾ駆動操作電子顕微鏡観察ステージの最適化 このステージは、マイクロメートルレベルの位置調整を行う機械式駆動系とピコメートルレベルの操作を行うピエゾ微動系から構成されるが、前年度までの研究で、機械式駆動系についてはまだ改良の余地があることがわかった。このためこの駆動系のマイクロモーターの駆動最小量を10分の1に減らして駆動精度を改善し、細かなナノチップ操作をできるようにした。 2.ナノプローブの最適化 項目1の機械式駆動系の改良によって、ナノプローブの先端を微細化する操作が改善され、より小さな数ナノメートルのナノプローブを接触操作によって作製することができるようになった。また、本手法では、2つの試料ステージがあるが、その片側にナノチップを2つ固定し、その先端をナノプローブに加工できるようになった。これにより、本研究で目指している3探針を電子顕微鏡試料室に備えることが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の本研究の目的は、これまでにない電子顕微鏡に内蔵できる3軸駆動系の設計・製作、およびこれを用いた分子操作などの機械的ピンセットの開発であり、本年度はその中核であるゴニオメータと試料ステージの改良を行い、操作精度を10倍に改善した。この成果は、本研究を進める上で、極めて大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、初年度には操作ステージを開発し、本年度はこの操作ステージを改善するとともに、実際に分子等を挟むナノチップ先端の原子サイズの先鋭化と高さ調整が可能になった。次年度は、より小さく、ナノ粒子操作に適したナノプローブ作製の条件を把握するとともに、そのナノプローブを用いて、メカニカルピンセット操作を実現する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度残金については、年度末に購入した消耗品の支払いが4月になったものである。平成25年度の経費は、ナノプローブの原材料費、および操作ステージの改造費、および成果発表のための出版費と旅費等に使用する。
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