2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23651127
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木塚 徳志 筑波大学, 数理物質系, 教授 (10234303)
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Keywords | 分子操作 / 原子操作 / 電子顕微鏡 / ピエゾ素子 / 走査プローブ顕微鏡 / 走査プローブ顕微鏡 / ナノチップ / ナノクラフト |
Research Abstract |
本年度は、より小さく、ナノ粒子操作に適したナノプローブ作製の条件を把握するとともに、そのナノプローブを用いて、ナノサイズ分子を挟む操作を試みた。ナノプローブ作製に関しては、当初の計画通り、まず、ピンセットの素材である薄板を機械的に先鋭化した。このときの微細先端作製のための専用の研磨ジグをいくつか自作し、その中から最も歪みが少なく、剛性が高い先端作製のための研磨条件がわかった。次に、機械研磨した先端を収束イオンビーム法で加工し、先端の表面加工粗さをマイクロメートルからサブナノメートルレベルまで小さくした。最後に、この先端を研究代表者が開発してきた電子顕微鏡の試料室に挿入し、そこでナノチップ操作によって先端を数ナノメートルの細さまで先鋭化し、ナノ粒子操作に適する最終的な形状に加工した。ナノプローブの材料としては、最初に、加工しやすい金や銀を選んだ。これらはナノプローブ材料としては、初めに柔らかいかと予想されたが、ナノメートルの微細化によって変形機構が転位機構から同時すべり機構に遷移し、このためにバルク素材に比べて強度が数桁高くなることがわかった。これは金属変形論の本質に関わる重要な知見であり、ナノ結晶素材を強化する方針となるものである(業績欄参照)。ナノプローブ素材としては、この他に、アルミニウムやロジウムなどについて検証し、同様なナノ加工と微細化による強化が確認された。本研究の最終段階として、こうして作製したナノプローブを用いて、ナノサイズの分子を個別に挟み、作製したナノプローブがナノクラフトのためのピンセット先端に適していることがわかった。
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