2012 Fiscal Year Research-status Report
一細胞ゲノム解析へ向けた高性能DNA増幅マイクロチップの開発
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23651131
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
松浦 俊一 独立行政法人産業技術総合研究所, コンパクト化学システム研究センター, 研究員 (80443224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 知哉 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター、DBCLS), 新領域融合研究センター, 特任准教授 (00338196)
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Keywords | バイオチップ / DNA増幅 / DNA合成酵素 / ナノ空孔材料 / 固定化酵素 |
Research Abstract |
DNA合成酵素と規則性細孔を有するナノ空孔材料(メソポーラスシリカ)の複合材料を利用した高効率・長寿命のDNA増幅システムを構築することを目的とし、本年度前半までに、細孔径の異なる7種類のメソポーラスシリカと耐熱性DNA合成酵素(Taq DNAポリメラーゼ)の複合材料を用いたバッチ式PCRにおいて、基質DNAの非特異的吸着の抑制と酵素の繰り返し使用を同時に達成できる可能性を示した。本手法ではシリカの細孔径の違いにより酵素活性の最適化が可能であり、又、バックグラウンドDNA増幅を抑制できるため、一細胞レベルの極微量サンプルからの高精度DNA増幅手段としての利用が期待できる。 また、本手法による効果の再現性を確認するとともに、国内特許出願ならびに第35回日本分子生物学会での成果発表を行った。 本年度は更に、タイプの異なる耐熱性DNA合成酵素(KOD DNAポリメラーゼ)のシリカ材料に対する吸着挙動の評価および環状プラスミドDNAを鋳型とした長鎖(1000塩基対)のDNA増幅反応試験を行った。その結果、DNA合成酵素はシリカ材料に対して強固に吸着できており、また、未吸着のDNA合成酵素と比較して、固定化酵素では副反応を抑制でき、その結果、DNA増幅活性が増大できるという新たな効果に関する知見を得た。 又、DNA合成酵素-メソポーラスシリカ複合体を流通式マイクロチップを用いた反応に適用するために、流路幅0.5 mm、流路深さ0.1 mmのマイクロ流路(全長250 mm)を掘削したシリコーン樹脂基板(52×76 mm)を作製した。さらに、マイクロ流路中でのDNA合成反応を可能にするための温度制御装置の設計を行い、透明導電膜を介してマイクロ流路近傍を局所的に加熱可能である、既存の装置にはない新規のマイクロチップ用温度制御装置を製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一昨年3/11の大震災およびその後の大型余震の影響により、研究インフラおよび研究機器等の復旧に時間を要したため、初年度及び本年度に計画していた全ての実験項目について検討することはできなかった。しかし、PCR用DNA合成酵素と7種類のナノ空孔材料を用いたバッチ式反応を詳細に試験することによって複合化に最適なナノ空孔材料を見出すとともに、複合体の製造方法および用途に関する国内特許を出願することができた。 また、これまでに達成できていなかった、環状DNAからの長鎖の増幅反応に成功し、これを流通式反応に適用するためのマイクロチップ(プロトタイプ)を作製することができた。 以上のことより、本研究の目的に対する達成度は現時点で60%程度であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、交付申請書に記載の実施計画のうち、これまで実施できなかった実験と平成25年度の研究実施計画について検討する。具体的な推進方策としては、本年度に得られた研究成果を基に、DNA合成酵素-ナノ空孔材料複合体のマイクロチップへの実装について検証する。 また、ここで作製した酵素固定化マイクロチップをPCR法に適用するとともに、最終的には、南極大陸由来の難培養性微生物一細胞から抽出したゲノムDNAを鋳型としたMultiple Displacement Amplification(MDA法)に適用し、本マイクロチップの性能を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現段階では、上述の環境微生物一細胞のゲノムDNAの抽出操作および反応解析に着手できておらず、これらを実施するための研究分担金の未使用分(40万円)が生じている。そこで、次年度は、酵素反応及び解析に関わる試薬等の消耗品費の他、上記未使用の研究費をゲノムDNAの抽出操作及びマイクロチップによるDNA増幅産物の反応解析のために必要となる各種消耗品費に充当する。 又、これまでに得られた知見をまとめ、研究成果の発表(学術論文および学会発表)を行うための論文投稿費、学会登録費、国内旅費等に研究費を充てる予定である。
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