2013 Fiscal Year Annual Research Report
一細胞ゲノム解析へ向けた高性能DNA増幅マイクロチップの開発
Project/Area Number |
23651131
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
松浦 俊一 独立行政法人産業技術総合研究所, コンパクト化学システム研究センター, 主任研究員 (80443224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 知哉 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構, 新領域融合研究センター, 特任准教授 (00338196)
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Keywords | DNAポリメラーゼ / メソポーラスシリカ / 固定化酵素 / DNA増幅 / PCR |
Research Abstract |
従来のMultiple Displacement Amplification(MDA法)等のDNA増幅技術では、市販のDNA合成酵素溶液に混入しているバックグラウンドDNAの増幅問題などが指摘されている。我々は、この技術的課題を克服するために、バックグラウンドDNAの吸着を抑制しながらDNA合成酵素を選択的に固定化できる無機担体の開発を進めてきた。 これまでに、短鎖DNAを対象としたPCRにおいて、無機多孔質材料(メソポーラスシリカ)が酵素の安定な固定化場として好適であることを見出した。当年度は、細孔径の異なる7種類のメソポーラスシリカ(細孔径:2.6~24.5 nm)に固定化したKOD DNAポリメラーゼを用いて、環状プラスミドDNAに挿入した4種類の長鎖DNA(0.6、1.2、2.6、5.0 kbp)の増幅を試みた。その結果、基質DNAの鎖長が長いほど反応が阻害される傾向が示されたが、全ての基質DNAを増幅可能なシリカ材料の至適細孔径が明らかになった。また、固定化酵素を回収、洗浄することによって反応溶液中に含まれているバックグラウンドDNAを除去した後、基質DNAを添加しPCRを行ったところ、ターゲットDNAのみを選択的に増幅することができた。 当年度は更に、鎖置換型DNAポリメラーゼ(phi29およびBst DNAポリメラーゼ)-メソポーラスシリカ複合体を担持した流通式マイクロリアクターを作製した。シリカに固定化したDNAポリメラーゼによる大腸菌数細胞レベルの染色体からのDNA増幅(MDA法)はバッチ反応にて困難であったが、固定化Bst DNAポリメラーゼによるLoop-Mediated Isothermal Amplification(LAMP法)では、バッチ及びマイクロフロー反応での増幅が認められ、さらに複数回にわたる酵素の繰り返し利用が可能であることが示された。
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