2012 Fiscal Year Research-status Report
シビレエイの細胞を用いたバイオマイクロ発電デバイスの開発
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23651133
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 陽 独立行政法人理化学研究所, 集積バイオデバイス研究ユニット, ユニットリーダー (40532271)
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Keywords | シビレエイ |
Research Abstract |
生物の基本単位である細胞は、マイクロサイズにきわめて多彩かつ高度な機能が集約されており、これを細胞のサイズに合わせた人工的なデバイスに集積化することにより、現在の技術では実現不可能な画期的なシステムを創成できる可能性を秘めている。本提案では、強力な電気を発生する器官を有する特殊な生物である電気魚の発電機能に着目した。発電細胞の利用により、従来の燃料電池とは全く異なる原理の化学エネルギーから電気エネルギーへの直接変換システムが実現可能と考えられる。本デバイス実現のためには、まず発電細胞の培養法を確立し、発電の制御法を確立する必要がある。以上をふまえ、本研究の目的は、発電細胞を集積化した発電システムの基盤創成とする。 平成24年度は、平成23昨年度にある程度わかった、安定して実験ができるための前提条件であるシビレエイの供給がどの程度安定しているのかを、1年を通じて伊勢の漁師に依頼して具体的なデータとして表にまとめて調べたところ、夏季~秋季は全く取れない期間もあるが、それ以外の期間はほぼ毎日取れることがわかり、実験計画が比較的立てやすくなった。夏季~秋季にかけては、何らかの維持装置を働かせてエイを安定して使える状態にしておく必要があることも明らかになった。また、シビレエイの発電を利用して、LEDを光らせる、おもちゃの車を走らせるなど、何らかの仕事をさせることを実証し、デバイス利用への基礎を築いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の進捗状況としては、デバイス開発のために必要な前提条件を明らかにするとともに、基礎であるところの発電の測定ならびに蓄電さらにはそれを用いたデバイス駆動というところに非常に進捗があり、当所の目的はほぼ達成されたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、本格的なデバイス開発に取り組む予定である。とくに、実際にシビレエイの電力をたくさんためる機構の開発、ならびにこれを効果的に利用する手法の開発、そして、マイクロチップへの搭載に向け、発電器官の電気化学的なプロパティの測定および解析、さらには組織・細胞分離に向けた基礎技術の開発などを行い、デバイスを実証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23・24年度は、実際の実験に入る以前の捕獲量調査の部分に時間を費やしたためことと、漁師の好意的な協力により、シビレエイならびに捕獲量調査が思いのほか安く済んだこともあって、合計で120万円程度の未使用分が発生したが、これは平成25年度に、当所予定の分と合わせ、消耗品などに使ってより研究を大きく推進するために執行する予定である。具体的には、物品費としてシビレエイ他、試薬や実験器具ならびにデバイス材料として50~70万円、調査や打ち合わせのための旅費として40~60万円程度を計画している。執行率としては、年度末時点においてほぼ当所の計画通りを想定している。
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