2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23651134
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 記一 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50321906)
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Keywords | マイクロチップ / 血液脳関門 / 動物実験代替法 |
Research Abstract |
PDMSマイクロチップ内に毛細血管に見立てた微細流路を作製し、ここに血管内皮細胞、周皮細胞、アストロサイト3種類の細胞を配置し、共培養することにより実際の血液脳関門(BBB)を模倣したマイクロBBBを構築することを目指してデバイス開発を行った。 チップはソフトリソグラフィー法によりマイクロ流路を造形したポリジメチルシロキサン(PDMS)シートを貼り合わせて作製した。その際、PDMSシート間に多孔質ポリエステル膜を挟み込み、これを細胞培養の支持膜とした。フィブロネクチンやコラーゲンなど細胞外マトリックスをコーティング後、実際にモデル細胞の培養を試みた。開発するマイクロモデルでは最終的には血管モデルとして正常ヒト脳毛細血管内皮細胞と、正常ヒト脳毛細血管周皮細胞を用いる予定だが、これらの細胞はかなり高価であり、取り扱いが容易でないため、今年度の研究にはアカゲザル由来の血管内皮細胞株およびヒト由来の上皮様細胞株を用いた。 検討の結果、通常のフォトリソグラフィーで作製する深さ200ミクロン以下の流路ではコンフルエントな培養は難しいことが分かった。そのため、新たに裏面照射フォトリソグラフィー法を開発し、深さ500ミクロン以上の鋳型を作製することに成功し、深い流路を構築してこれを培養槽とした。コンフルエントな細胞培養を実現するためには、細胞の播種時には通常よりも高密度の細胞懸濁液を用いる必要があった。細胞が接着後、極めてゆっくりの速度で培地を連続的に供給しながら培養することにより、細胞を良好に増殖させることに成功した。これにより、細胞支持膜の上面と下面に異種の動物細胞を培養することに成功した。また、得られたデバイスを用いて蛍光色素の透過性試験を行い、デバイス内に形成された細胞シートが透過性バリアとして機能していることを確認した。
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