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2011 Fiscal Year Research-status Report

マイクロ液滴衝突法の創成と新規流体・化学操作への展開

Research Project

Project/Area Number 23651135
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

馬渡 和真  東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教授 (60415974)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords液滴 / 衝突 / マイクロ化学チップ / 化学反応
Research Abstract

数cm角のガラス基板に数10-100umの流路を刻んでさまざまな化学機能を集積化するマイクロ化学チップの研究が世界中で繰り広げられ、従来の分析や合成の高速化・微量化・小型化・高機能化を実現して、応用範囲が大きく広がっている。このマイクロ流体の制御には、水/油の多層流をベースとして、液滴流れや平行流が用いられてきた。しかし、その流速はマイクロ空間の大きな圧力損失によりcm/s程度に制限され、流体に大きなエネルギーを付与したプロセスはこれまで困難であった。そこで本研究では、気相中の液滴を10m/s以上に加速して、マイクロ空間の制御された流れの中で液滴と液滴を衝突させることで、液滴の先端に運動エネルギーを局所化して、これまでにない新たな化学プロセスを創成することを目的とした。 今年度は液滴の生成および加速の方法の開発を重点的に行なった。今年度当初の実験から微小な液滴を切り取ってそのまま加速する場合、圧力が一定以上になると液滴が壁面との摩擦によりちぎれてしまうという問題点を見出した。そこで、液滴を一旦氷に変換することで高速化することを着想した。マイクロ流路は非常に非界面積が大きく加熱・冷却を効率的に行うことができる。そこで、液滴を生成した後、マイナス40度に冷却した部分へ輸送して液滴を氷に相転移させる。その後、圧力を上げて液滴の体積よりも広い流路へ発射することで摩擦なく、大きな加速を実現する。今年度の実験では、速度を最大60m/sまで向上することに成功した。これは従来の液滴の加速が4m/s程度が限界だったのに比べると非常に大きな改善である。またこの速度で液体に戻して衝突できれば、通常の化学反応の活性化エネルギーを十分に越えるエネルギーを与えられると期待できる。以上より、新しい方法論を確立して、本年度の目的を達成することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

この挑戦的萌芽研究では、これまで困難であった液滴ー液滴の衝突および化学反応への応用を目的としている。そのためには、マイクロ流路内で液滴を加速して衝突させる流体制御の方法論が非常に重要である。特に液滴の極限加速は重要である。今年度は液滴のままの加速の限界を見出して、新たなコンセプトとして液滴と氷に変換する新しいマイクロ流体制御法を考案した。実際に桁違いの加速に成功して、衝突プロセスが成功すれば化学反応を誘起することが可能であると見積もられる。すでに衝突実験にも着手しており、衝突を実現できる流路デザインも確定している。したがって、新しい方法論を開発して実証し、さらに衝突プロセスにまで進展している本研究は計画以上に進展していると考える。

Strategy for Future Research Activity

来年度は最終年度となるので、極限加速での液滴の加速を実現して、化学反応へと展開する。氷への相転移により昨年度大きな加速に成功したが、次の課題としては衝突にあたり氷を液滴へと戻す必要がある。特に大きな速度の状況下での加熱は大きな課題である。そこで、水が吸収を示す赤外領域の高出力レーザーを用いることで高速加熱・液体への相転移を実現する。また、衝突に先立ち、液滴間の空気を効率的に抜く流路をデザインすることで、高速での衝突を実現する。さらには、非触媒下での触媒反応や力学-化学反応変換などに展開して本方法論の有用性を実証する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度は最終年度であるので主に消耗品に使用する。また、順調に成果が出ているので、本分野最大の国際会議uTASでの成果発表(40万円程度)や論文投稿(5万円程度)に使用する予定である。

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Published: 2013-07-10  

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