2011 Fiscal Year Research-status Report
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23651136
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北川 章夫 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (10214785)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 分光 / イメージセンサ / フォトニクス / センサ / 電磁界シミュレーション |
Research Abstract |
微小領域の微弱な近赤外(約1000nm)から紫外(約250nm)の光の分光特性を測定するためのモノリシック分光器(集積分光センサ)を実現するために設計、試作及び特性評価を実施した。試作した新デバイスは、イメージセンサの各画素を第1、第2メタル(半導体に近い側から1番目と2番目の金属配線層)で遮光し、これらの配線層に、200~500nm角の方形窓を開けた構造を持つ。方形窓の寸法は、画素毎に僅かに変化させてあり、可視光~紫外線領域のスペクトラム情報を2次元の濃淡パターンとして取り出すことができる。本年度は、計測原理の検証とセンサ全体の設計に必要なデータを得るために、CMOS 180nmテクノロジ(180nmの最小寸法で微細加工される集積回路製造技術)を利用して、要素回路の試作と評価を行った。画素に組み込んだ受光素子の特性を調べたところ、感度、信号対雑音比は予想通りであったが、分光感度特性は、電磁界シミュレーションによる予想と異なっていた。横方向からの入射光の回り込みが原因であると予想されたため、横方向の遮光を考慮した画素構造を設計し直し、再度試作を実施した。再試作したテスト回路は、現在製造中である。以上の結果から、提案方法により、分光感度特性が設計できることが実証されたため、特許出願を行った。また、シミュレーション結果に基づく分光感度特性の設計手法について、映像情報メディア学会で研究報告を行った。さらに、本手法を用いた集積分光センサについて、科学技術振興機構で新技術説明会を実施した。多数の企業や大学から問い合わせを受けており、多くの新しい応用分野があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度申請時の計画に於いて、平成23年度に集積分光センサを設計するための要素回路の試作と特性評価を行い、平成24年度に集積分光センサを試作し性能評価を行う予定であった。平成23年度に、要素回路の試作と特性評価を実施し、計測原理を実証することができた。ただし、シミュレーションによる予想とは大きく異なる特性となったため、原因の検討および再設計を行った。現在、再設計したデバイスを製造中であるため、その評価は平成24年度に行う。また、計画では、CMOS 65nm(半導体製造技術の名称)を使用してセンサを試作する予定であったが、研究開始後に発表された製造日程が研究計画と整合し難かったため、CMOS 180nm(別の半導体製造技術の名称)に変更している。これまでに、集積分光センサの試作に向けて、要素回路の特性までは調べることができたので、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に再設計を行ったデバイスの特性評価を行う。さらに、平成23年度申請時の計画のとおり、以下の試作事件を実施する。即ち、得られた特性データに基づき、集積分光センサの試作を行う。(1) 波長400nm~1000nmの分光感度特性、(2) 感度の温度特性、(3) 応答速度の測定により評価を実施する。さらに、試作したセンサを用いて計測システムを構成し、ディジタルトリミングおよび統計処理により分光特性の絶対精度を保証する集積分光計測システムを完成させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度にテスト回路を再試作したため、平成24年度に試作費の追加が必要となるが、この費用として、学内の研究支援費用を申請するため、当初計画に変更はない。主な研究経費は下記のとおりである。(1) 消耗品費CMOS 180nm 2.5mm角 2品種*20個(センサシステム試作、補正回路の組み込み試作)および計測システムの制作費。(2) 謝金、旅費等集積回路の回路シミュレーションおよびレイアウト設計の補助および学会発表旅費等。
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