2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体埋込MEMS実現に向けた液中疲労試験と無限寿命ステンレスシリコンへの挑戦
Project/Area Number |
23651137
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
神谷 庄司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00204628)
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Keywords | 環境効果 / シリコン / 長期信頼性 / 水 |
Research Abstract |
微小電子機械システム(MEMS)を利用した医療マイクロマシンは、人体への負担が少ない低侵襲検査治療法として、今後の発展が期待されている。MEMS構造体には代表的な半導体材料であるシリコンが用いられるが、生体埋込型MEMSの実用化に不可欠である生体内環境下における機械的特性、耐久性や疲労特性に関する評価例は未だ数少ない。本研究では、生体内での使用で避けられない水中を含む湿潤環境での強度試験および疲労試験を行い、水分の存在下における強度設計手法と、生体内の環境においても強度や疲労寿命の低下を抑制する方法論の確立とを目指した。本年度は、開発した液中疲労試験装置を用いてシリコンの機械特性の調査を行い、疲労寿命予測モデルの検討、および表面に吸着された水分子から解離してシリコン内部に侵入し劣化を引き起こすと予測される、水素が及ぼす機械特性への影響の評価を行った。本年度の成果は以下の通りである。 1) 液中疲労試験装置を用いて不活性ガス(窒素)および水中の異なる環境下で温度を変化させた際のシリコン単結晶薄膜の引張試験を実施し、各環境下における強度分布の変化を解析した。 2) 湿潤環境下におけるシリコンの疲労現象について、応力腐食割れと転位移動に基づく異なる疲労寿命予測モデルの定式化を試みた。これらのモデルを異なる温度と周波数における疲労試験結果に適用して考察し、水分子の存在がシリコンの転位移動に要する活性化エネルギを低下させている可能性を示唆する結果を得た。 3) これまでに表面の水分子からシリコン結晶内部へ水素が供給されることが知られていたため、水中での特性劣化の基本的な機構を調査すべく、高温水中に置いたシリコンの基本的な機械特性について、ナノインデンテーションにより詳細な評価を行った。これより、水素がシリコンの塑性変形を促進する効果を引き起こす可能性を示唆する結果を得た。
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Research Products
(5 results)