2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23651139
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
鈴木 孝明 香川大学, 工学部, 准教授 (10378797)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / マイクロファブリケーション / ドライエッチング / 単結晶シリコン |
Research Abstract |
本研究では、単結晶シリコンの加工技術として、プラズマプロセスにより結晶異方性ドライエッチングを行う方法を提案する。従来、シリコンの結晶異方性エッチングは、特殊な薬液によるウエットプロセスのみで行われてきた。ウエットエッチングから汎用性が高いプラズマドライエッチングに変更できれば、危険な薬液を操作する必要がなく安全であり、化学薬品の使用を非常に少なくできる。また、解像度、洗浄性、加工制御性、自動化容易性、電子回路との適合性が向上する。さらに、従来にない複雑な3次元マイクロ構造を製作することもできる。研究期間内では、提案技術のメカニズム解明と応用デバイス作製への適用を行い、その有効性を検証する。具体的には、プラズマエッチング時の操作条件(圧力、RF 出力、温度など)やシリコンウエハの種類(結晶方位、比抵抗、導電性など)をパラメータとした加工形状評価を行う。 本年度は、まず、結晶異方性エッチングによる加工における典型的な加工形状について、アルカリ溶液によるウエットエッチングと数例を比較し、接触式表面形状測定機などの測定機器を用いて加工面の特性を評価した。さらに、本技術のメカニズム解明に向けた条件最適化、マイクロデバイス製作への適用を行い、その有効性を検証した。具体的には、まず、結晶異方性の程度を表す指標の構築を行った。次に、以下の3項目について基礎的な加工実験を行った。(1)RIEパラメータ(ガス種、ガス流量、RF出力、反応室圧力)掃引による化学的エッチングと物理的エッチングの比の最適化、(2)シリコン基板および保護膜の種類による加工形状変化、(3)提案する技術の加工汎用性を検証するための、プラズマ生成法が異なるドライエッチング装置による比較検討、以上を行い、常温下で結晶異方性ドライエッチングが可能となる条件を探索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究の目的および実施計画については、予定通り進めることができた。さらに、当初計画にはなかったエッチング時間に対する加工形状の変化の詳細を計測した結果、加工断面形状の推移が得られたことと、加工に必要な条件がほぼまとめられてきていることから、次年度以降の加工形状予測が容易になったことから、今後の研究も計画以上に進捗する可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、初年度の研究成果を基にして、応用展開に必要となる加工特性の定量化と実際の応用検討を行う。具体的には、前年度検討をしたプロセスパラメータ掃引実験を継続すると共に、本提案技術を広範囲に利用するためのプロセストレンドの製作を行う。 さらに、結晶異方性ドライエッチングによって得られる特徴的な加工形状を用いた応用検討として、カンチレバー型リリース構造の試作によりその妥当性を検証する。マイクロアクチュエータやセンサなどの可動構造の製作には、従来、シリコン結晶異方性ウエットエッチングや、SiO2犠牲層を蒸気HFで除去する方法が用いられてきたが、近年は、スティッキングの防止や加工選択性の高さからXeF2 ガスを用いた犠牲層エッチングが用いられている。カンチレバー型リリース構造の試作を通じて、本提案技術が普通のプラズマエッチング装置を用いることから、犠牲層エッチング専用装置や特に高価な特殊ガスを必要とせず、スティッキングも発生しないリリース構造製作工程としての適用可能性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、半導体製造装置関連の施設と形状評価装置が必須となるが、研究グループで保守・運営するクリーンルームおよび評価室(合計約400平米)には、微小構造体作製に必要な設備が揃っており、最低限の研究経費で本研究に関する成果が得られている。計画当初は初年度に設備購入を計画していたが、実験回数増加に伴い、消耗品費が増額したことから、当初導入予定だった設備より機能が若干低いが代用可能な既存設備を新たに学内に求め、利用できたことから繰越研究費が生じた。 その研究費については、プロセストレンドを得るための実験回数と加工実施例を増やすための消耗品購入費用の増額に当てる。また、応用展開をより進めるための、研究成果発表、および、資料収集のための旅費を増額し、萌芽的研究からの広範囲へのさらなる発展を目指すことで効果的に使用する計画を立案している。
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