2012 Fiscal Year Research-status Report
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23651139
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
鈴木 孝明 香川大学, 工学部, 准教授 (10378797)
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / マイクロファブリケーション / ドライエッチング / 単結晶シリコン |
Research Abstract |
本研究では、単結晶シリコンの加工技術として、プラズマプロセスにより結晶異方性ドライエッチングを行う方法を提案する。従来、シリコンの結晶異方性エッチングは、特殊な薬液によるウエットプロセスのみで行われてきた。ウエットエッチングから汎用性が高いプラズマドライエッチングに変更できれば、危険な薬液を操作する必要がなく安全であり、化学薬品の使用を非常に少なくできる。 また、解像度、洗浄性、加工制御性、自動化容易性、電子回路との適合性が向上する。さらに、従来にない複雑な3次元マイクロ構造を製作することもできる。研究期間内では、提案技術のメカニズム解明と応用デバイス作製への適用を行い、その有効性を検証する。具体的には、プラズマエッチング時の操作条件(圧力、RF 出力、温度など)やシリコンウエハの種類(結晶方位、比抵抗、導電性など)をパラメータとした加工形状評価を行う。 平成24年度は、初年度の研究成果を基にして、応用展開に必要となる加工特性の定量化と実際の応用検討を行った。具体的には、前年度の項目1)レート比の最適化、2)加工形状変化の実験を継続すると共に、本提案技術を広範囲に利用するためのプロセストレンドの製作を行った。 さらに、結晶異方性ドライエッチングによって得られる特徴的な加工形状を用いた応用検討として、カンチレバー型リリース構造の試作によりその妥当性を検証した。カンチレバー型リリース構造の試作を通じて、本提案技術が普通のプラズマエッチング装置を用いることから、犠牲層エッチング専用装置や特に高価な特殊ガスを必要とせず、スティッキングも発生しないリリース構造製作工程としての適用可能性を検証した。その結果、カンチレバー構造を従来よりも高い歩留まりで短時間に作製できることと、作製される構造の強度を有限要素法解析を行い、有用であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究の目的および実施計画については、予定通り進めることができた。さらに、当初計画では、本研究期間の終了後に予定していた様々な応用例の構築が、加工形状予測が容易になったことから前倒しで着手し、微細針アレイ形状の試作などを開始し、本提案技術が広範囲に利用可能である可能性を示している。結晶方位に関する最適化がまだ十分でないが、来年度さらに研究を進め、メカニズムの解明に近づけることができれば、さらなる応用範囲の拡大につなげることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、2年間の研究成果を基にして、本提案技術を広範囲に利用するための加工特性の定量化の推進と実際の応用評価例の増大を行う。具体的には、これまで検討してきたプロセスパラメータ掃引実験を継続し、特に、保護膜の種類による加工性能の変化を中心に、本提案技術を広範囲に利用するためのプロセストレンドの製作を引き続き行う。 さらに、結晶異方性ドライエッチングによって得られる特徴的な加工形状を用いた応用検討として、カンチレバー型リリース構造と微細針アレイの試作をさらに続け、単一ドライエッチング装置、および、単一マスクパターンによる複雑三次元形状作製技術に新たな加工面を付加し、従来よりもさらに複雑な加工形状をウエハサイズで一括作製する方法の構築について検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、初年度の研究成果を基にして、応用展開に必要となる加工特性の定量化と実際の応用検討を開始した。特に、取得した大量のデータ整理を中心に取り組み、現在までに当初計画はおおよそ達成できる見込みができたが、より大きな波及効果を求め、プロセストレンドをさらに広範囲に得るための実験回数と加工実施例を増やすための消耗品の追加購入と、さらなる実験時間の確保が必要である。計画当初は設備購入を計画していたが、当初導入予定だった設備より機能が若干低いが代用可能な既存設備を新たに学内に求め、初年度に繰越研究費が生じた。また、平成25年度は予定の国際会議を学内行事により不参加となったことから残額が発生した。そこで、これらの費用を、上記の消耗品購入費用の増額に当てる。また、応用展開をより進めるための、研究成果発表、および、資料収集のための旅費として、萌芽的研究からの広範囲へのさらなる発展を目指すこととしたい。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] Improvement of Processing Reproducibility for a Magnetic-Driven Microstructure Made of Photosensitive Nanocomposite2012
Author(s)
T. Nakahara, J. Suzuki, Y. Hosokawa, Y. Ueda, K. Terao, H. Takao, F. Shimokawa, F. Oohira, H. Miyagawa, H. Kotera and T. Suzuki
Organizer
IEEE Optical MEMS & Nanophotonics Conference [OMN2012]
Place of Presentation
Banff, Alberta, Canada
Year and Date
20120806-20120809
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