2011 Fiscal Year Research-status Report
地域内の互酬性をベースとした送迎・同乗交通システムの実験的構築
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23651155
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
佐々木 邦明 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (30242837)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ライドシェア / 互酬性 / 高齢者 / 交通不便者 / 送迎交通 |
Research Abstract |
本年度の研究実績として,互酬性をもつ同乗・送迎システムの開発と地域への実装のための互酬性に関する基礎調査があげられる.同乗・送迎システムの開発においては,需要者・供給者をマッチさせるための仕組みとして,双方が入力するケース,需要者を一覧として供給者が選択するケース,モデレーターが個別の情報を取得してコーディネートを行うケースを想定して,入力・マッチングシステムの基本設計を行った. また,実装先として長野県諏訪郡原村原山地区を想定し,地域のNPO法人と協力して先に想定した互酬性を含むシステムの設計方針決定のために実態調査を行った.まずこれまでのライドシェアの研究のレビューから以下の点が問題としてあげられている.1.供給者が継続的に参加できるレベルの需要の存在と,その需要に対して有るレベル以上でのマッチング可能な同乗の供給量 2.同乗に対する抵抗感を低減するための平常時の人的ネットワークの構築 これらの問題点に追加して,今回の研究課題である地域内の互酬性,また基本的なシステムへのアクセシビリティおよび,物理的特性である時空間的な同一性をあわせて調査した.その結果は以下のようにまとめられる.1.利他的な動機により送迎・同乗を提供しても良いと積極的に考える人は地域内に一定数存在する 2.地域内のつきあいが全く無い人は少なく,全員最低限の交流はある 3.買物・病院の目的地および利用時間には,交通不便者と自動車利用者ではそれほど大きな違いがない 4.交通不便者である後期高齢者でインターネットを常時使う人の割合は低く,電話等の別なアクセスを用意する必要がある.これらの結果を踏まえ,本研究課題に向けては,利他的動機によるためには負担を低減することが必要であり,負担を一定以下に抑えることをシステムのプロトタイプ設計時に考慮することとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はシステムのプロトタイプ開発およびその地域実装と互酬性の可能性についての基礎調査を実施した.これらから,研究目的である互酬性を考慮したライドシェア実装達成への十分な知見を得られた.またシステムもベースはおおよそ完成し,互酬性を埋込むためのキーも明らかになったためおおむね順調に進んでいると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降では,本年度の成果をベースに互酬メカニズムを含めたマッチングおよびインセンティブメカニズムの設計を行い,それをプロトタイプに組み込む.またそれを地域に実装する実験を行い当初の目的を達成する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は7千円程度の残額が発生した.これは実装予定地域への旅費の使用が少なかったことなどに起因する.次年度は実装を中心に行うため,現地への旅費が増加すると考えられるため,有効に活用可能であると考えている.また次年度の使用は主に開発のための人件費と,NPOとの連携によるモデレータセンター運営等に当てられることとなる.
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