2011 Fiscal Year Research-status Report
渋滞学における車両エージェント動力学およびマクロ現象への進化ゲーム理論適用の試み
Project/Area Number |
23651156
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷本 潤 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (60227238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩島 理 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (60294980)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 交通流 / 進化ゲーム / 動力学 / 社会ジレンマ |
Research Abstract |
交通流解析手法としてのCellular Automaton(CA)する基礎構成 現実の交通流を高精度に再現する上で,CAモデルが克服すべき問題として,(1)強引な割り込みを含む車線変更のダイナミクスを適切に再現するサブモデルが存在しない,(2)Kernerの3相理論の再現性,(3)追従模型と異なり先行車との車間距離や速度差に応じた影響が陽に組み込まれていないので,非現実的な急減速が起きる との3点に関して理論的アプローチを併用しながら,高速道路,一般道で得られた観測データを再現するCAサブモデルを開発した.開発したモデルはS NFS Modelを基盤とし,(1)ランダムブレーキプロセスに先行車との車間距離および速度差に応じてランダムブレーキ確率が異なる設定を取り入れ,(2)先行車および後続車との車間距離および速度差に応じて車線変更を企画実行するとの枠組みを有する.ネットワーク互恵による社会ジレンマの緩解・解消プロトコルの詳細理論解析 交通流により惹起される社会的な数理ジレンマとして常に裏切り戦略が支配するPrisoner's Dilemmaが想定される.PDを緩解・解消させるためにはエージェント間の匿名性(Nowakの言う社会粘性)を減じさせることが重要となる.ここでは,そのプロトコルとしてネットワーク互恵に注目し,一連のマルチエージェントシミュレーションと演繹解析により,ネットワーク互恵の基本機構を解明した.ネットワーク互恵の本質が,初期にランダム配置される協調エージェントの戦略更新速度を遅くすることで,エピソード初期に周囲の裏切りエージェントからの侵襲に耐えるプロセスをどう頑強にし得るか,またそれを耐えた後に今度は協調エージェントが周辺の裏切りエージェント中に伸長していくのに如何にスムーズな拡大が達成出来るか,の2つのポイントで説明出来ることが解った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、(1)セルオートマタによる交通流ダイナミクスを再現するモデル、特に、再現性の高い車線変更ダイナミクスモデルの開発の部分、(2)協調創発の素過程を進化ゲームの基盤モデルとして良く適用される2×2ゲームを用いて解析する、との研究を初年度に併走させ、次年度には両者を統合した総合モデルを構築し、数値実験を行うとの時間進行を想定していた.初年度は、上記のサブモデルの構築をほぼ終え、その成果をジャーナル論文として発表することが出来た.よって、本研究は当初の計画通り順調に進展していると判定される.
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、最終年度となる本年度はサブモデル同士を統合したモデルを構築し、系統的で大規模な数値実験を行うことで、研究agendaとして掲げた、「流れ場の物理で理解可能とされてきた交通流に人間の意志決定プロセスである進化ゲーム理論を適用することで、ピュアな物理現象中に数理ジレンマが存在すること」を帰納的に検証するとともに、そのダイナミクスの詳細な構造を解明することを目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の基盤インフラは既に整備されているので、計算機実験のための費用、数値実験のための消耗品、研究発表のための旅費等に充当する計画である.
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Research Products
(8 results)