2011 Fiscal Year Research-status Report
パーフェクトサンプリングを用いたマルコフ連鎖モンテカルロ法の構築
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23651157
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
松井 知己 中央大学, 理工学部, 教授 (30270888)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | マルコフ連鎖モンテカルロ法 / パーフェクトサンプリング法 |
Research Abstract |
本研究では, マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)を用いた全多項式時間乱拓近似スキーム(FPRAS)の構築を行う.またMCMC法において必要となるサンプリング法として,coupling from the past 法(CFTP法)に基づくパーフェクトサンプリング法(所望の確率分布に厳密に従うサンプリング法)を構築する.現在までに,医療統計等において重要な『正確検定』を行う際に必要となる分割表を生成するCFTP法の構築に成功している.この成果は,申請者による,2行分割表を生成するCFTP法を繰り返し用い,棄却法と組み合わせることで,一般の行数の分割表を生成するものである.提案手法について詳細な計算実験を行い,その成果を論文としてまとめた.さらに,確率的ネットワークにおける最長路問題(確率的PERT問題)に対し,CFTP法に基づいたパーフェクトサンプリング法と,これを用いたFPRASの構築に成功している.現在はこの手法の性能を確認するための計算実験を計画している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)を用いた全多項式時間乱拓近似スキーム(FPRAS)の構築である.特にMCMC法において必要となるサンプリング法として、coupling from the past 法(CFTP法)に基づくパーフェクトサンプリング法(所望の確率分布に厳密に従うサンプリング法)を構築することを目標としている.現時点において,分割表に対する新たなパーフェクトサンプリング法の構築と,その計算実験を終了し,結果をまとめた論文の投稿を行った.また,確率的ネットワークにおける最長路問題(確率的PERT問題)に対し,CFTP法に基づいたパーフェクトサンプリング法と,これを用いたFPRASの構築に成功している.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,確率的ネットワークにおける最長路問題(確率的PERT問題)に対し,CFTP法に基づいたパーフェクトサンプリング法と,これを用いたFPRASの構築に成功している.この手法について,その性能を確認すべく,計算実験を計画している.現時点において,予備的な計算実験は終了しているが,まだ十分な計算速度が無いため,更なる改良が必要であることが判明しており,パーフェクトサンプリング法の改良と,解法で得られる解の精度の算定の改善も同時に行っている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算機実験において,マルコフ連鎖モンテカルロ法で得られた解の精度の確認には,サイズの小さな問題に対し,厳密な解の算定が必要である.予備的な計算実験において,この厳密な解の計算に,予想以上に膨大な計算時間がかかることが判明している.計算時間の短縮のために,速度の速い計算機の購入,あるいは高速な大型コンピュータの使用を計画している.またこれに必要なプログラミングを行う人材の雇用を計画している.また,夏期に開催される予定の国際会議 OR2012(ドイツ,ハノーバー)において,共同研究者との参加し,結果の発表を予定しており,このための出張費用の支出が予定されている.
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