2011 Fiscal Year Research-status Report
失敗の経験に着目した大型船の操縦技術訓練方法の検討
Project/Area Number |
23651166
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
広野 康平 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (80346288)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 安全工学 / 操縦技術 / 失敗経験 |
Research Abstract |
本研究では、船舶の操縦技術に着目し、仮説として「緊張感を伴った『失敗の経験』の繰り返し」が技術の向上に資すると考えている。これまでの訓練プログラムは、コンピュータグラフィックス(CG)方式のシミュレータによるものと実際の船舶を用いるものが主流である。しかしながら、CG方式のシミュレータでは、ゲーム感覚が強く緊張感を想起しにくく、一方で実際の船舶では事故に直結するため失敗をすることが許されない。 そこで、人が乗船して操船することのできる大型船モデルを製作し、実際に操縦タスクを課す環境を整えることとした。このモデルでは操縦に失敗しても質量が実際の船舶ほど大きくないので、人力で衝突等の回避が可能であるため、事故には至らない。しかしながら、実際の船にはかわりがないので、これを動かす緊張感を持たせることができる。このような訓練方法が有効であること確認する。 平成23年度では大型船モデルの製作に着手した。これまで(平成22年度まで)の研究成果として、コンテナ船の船型データを入手し、モデルの設計を行っている。また、舵・主機の推進装置と制御装置のプロトタイプの作成して、知見を得ている。本年度では、(1)購入した材料による船体の工作、(2)主機関として利用するエレキモーターの動作確認、(3)位置計測および方位計測機器(GPSコンパス)の動作確認を実施した。 一方で、大型モデルの操縦を補助するタグボートモデルの設計を行った。タグボートとは大型船の操縦支援を専門とする小型で高出力の船舶である。大型船自身だけではコントロールが難しい場合、大型船の操縦者の命令により、大型船を押し引きする。この際大型船の操縦者には高度な操縦技術が求められるため、タグボートの運用は訓練の対象として組み入れる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)大型船モデルの製作船体材料、推進装置、位置計測装置を調達した。船体を作成した。推進装置と位置計測装置の動作確認を行った。船体への組入れを残している。2)タグボートモデルの設計船体材料、推進装置、位置計測装置を調達した。推進装置と位置計測装置の動作確認を行った。船体部の設計を行った。進捗は当初の計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
1)大型船モデルの製作(継続・仕上げ) 昨年度から引き続いて大型船モデルを完成させる。試運転を行い、運動性能、安全性を確認する。推進装置(エレキモータ)の制御は手動操作によるものであるので、推進制御装置を作成し連動させる。2)タグボートモデルの製作 船体の作成に着手する。推進装置と位置計測装置を組み入れる。大型船モデルと同様に、推進制御装置を作成するとともに、位置計測装置と連動し、船位保持のロジックを構築・実装する。3)訓練シナリオの試行 大型船モデルによる操縦を実施し、問題点の抽出とともに、訓練シナリオの要件を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「物品費:設備備品費」にて「推進制御装置材料」を計上している。・・・大型船モデルおよびタグボートモデルのそれぞれに組み入れる推進制御装置を作成するため。「人件費・謝金」にて「製作補助」を計上している。・・・モデル製作の作業補助を求めるため。「旅費:国内旅費」にて「研究打合せ」「研究成果発表」を計上している。・・・資料収集および学会参加のための旅費として利用するため。
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