2011 Fiscal Year Research-status Report
都市の広告用大型ディスプレイ群により引き起こされる有害な光刺激抑制の基礎検討
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23651167
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
多田村 克己 山口大学, 理工学研究科, 教授 (30236533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松元 隆博 山口大学, 理工学研究科, 助教 (10304495)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 光害 / 光CDMA方式 / 光無線通信 / デジタルサイネージ / 安全・安心 |
Research Abstract |
1.ディスプレイ間赤外線通信方式の開発(担当: 松元) 平成23年度は,近赤外LED素子とアバランシェフォトダイオード(APD)素子,FPGA素子を用いて,ディスプレイ間での情報交換を行う,単方向通信が可能な光無線通信システムを試作した.このシステムではCDMA技術を適用し,多くのLEDを用いた多重通信でも他のLEDからの干渉を抑えることが期待できる.ここでは,ディスプレイ間での送受信を容易にするために,送受信間の同期のための拡散系列とデータ通信のための拡散系列を共有できる新たな拡散系列を検討し,それを用いた新しいシステムを試作した.また,このシステムの1対1,1対多での単方向通信における実機による通信実験を行い,背景光の少ない環境では送受信が問題なく行えることを確認した.更に,計算機シミュレーションによって,シンチレーションと背景光,APD雑音,熱雑音による干渉と他信号による干渉によるビット誤り率特性への影響を明らかにした.その結果,従来の光直交符号を用いたシステムに比べ,実現したシステムはビット誤り率特性を向上できることが明らかになった.2.ディスプレイ間通信内容と手順(プロトコル)の考案(担当: 多田村) 複数のディスプレイシステムにおける通信制御処理部の間で行う通信内容と手順を検討した.これに関しては,新規に設置されたディスプレイと既設のディスプレイとの間で行う通信を想定して,通信開始の同期をとる方法,通信の前提として明確にしておくべき情報,および情報の交換手順について検討した.この際,実用面を考慮した場合,ディスプレイの通信制御部で自動的に生成可能な情報と設置・調整を行う人間が入力すべき情報との切り分けを明確にしておく必要があることが判明した.これに関しては,来年度入力方法も含めて検討することにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の主たる研究課題であった,ディスプレイ間の通信方式の開発は順調に進んでいる.計算機シミュレーションまで着手できたので,当初よりも,若干早く進んでいる.通信内容に関しては,実用面での検討内容について当初十分に予想できていなかったため,予想以上に検討すべき事項があることが判明した.この点は,研究がより深化した事を示す一方で当初予定にない作業であるためスケジュール的には若干の遅れを生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に試作した光無線通信システムを双方向通信が可能なシステムに改良し,一対一,一対多での双方向通信,多対多での双方向通信と複雑にさせた場合での動作確認と,外乱となるディスプレイを模したカラーLEDライトを光色を切り替えながら点灯させた環境下での動作確認を行う.更に昼間と夜間における太陽光の影響に差がある状況で動作確認を行う.伝送実験によって問題があればその改善方法を検討する.双方向通信が可能になった時点で,二つの端末間での情報通信方法における具体的な内容の検討を実施する.また,映像フレームの本研究目的に合致した符号化方式の考案と周囲のディスプレイからの出力も考慮に入れたディスプレイの出力決定方法の検討を行い,問題点を抽出する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では,今年度に必要な備品類をすべて購入することにしていた.しかし,光無線通信システムの試作段階では,現有のFPGAボードにより対応可能であった.来年度,双方向通信実験を行うために、新たにFPGAボード、APD素子、LED素子を購入する。外乱用に用いるフルカラーLED照明器具も,現有の設備で出力が不足するようであれば,来年度新規購入する予定である.本研究により得られた研究成果を国内の研究会と海外の国際会議で発表する予定であり,このための国内外への旅費と会議登録費を使用する予定である.
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