2011 Fiscal Year Research-status Report
リアムコンパクト数値風況技術を核とした風車に対するウィンドリスクの力学機構の解明
Project/Area Number |
23651168
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 孝紀 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90325481)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 風力発電 / 局地風況予測 / リアムコンパクト / 乱流モデル / 地形乱流 / 気象GPVデータ / GPUGPU |
Research Abstract |
【空間解像度30m以下の詳細地形構築技術の新規開発】本研究では,METI(経済産業省)とNASA(米国航空宇宙局)が共同で作成した空間解像度30mの全球3次元標高データ(ASTER)と,JAXA(宇宙航空研究開発機構)とNASAが共同作成した空間解像度10mの全球3次元標高データ(ALOSデータ)に注目し,これを風況シミュレーションの入力データに自動変換する技術を開発した.【種々の気象GPVデータの有効利用法の開発】気象GPV(Grid Point Value)データは,データフォーマットの複雑さなどから,一部の研究者しか利用できない状況にある.本研究では,データデコード(バイナリ形式からテキスト形式への変換)システムを開発し,数値風況予測への活用法を検討した.具体的な地点のデータを抽出し,年間平均風速などを解析した.【数値風況予測技術RIAM-COMPACTのさらなる改良とGPGPUの導入】本研究の技術コアであるRIAM-COMPACTに対して,種々の大気安定度へ適用可能な計算コードの改良,汎用性とロバスト性に優れた最新の乱流モデルの開発と導入,流入気流条件などの精緻化を行った.さらに,GPGPU技術を導入し,浮動小数点演算時間の劇的な短縮を図った.その結果,汎用的なPCレベルでスパコン並みの驚異的な高速化に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に計画したすべての研究開発は全て完了することができた.精密な風況シミュレーションに必要な詳細地形構築技術についても,それを確立することができ,具体的な地域のモデルを作成することに成功した.加えて,気象GPVデータにおいては具体的な地域の年間風況を解析することができた.計算速度の高速化,短縮化においては,数値モデルのチューニングに成功し,計算規模の異なる数種類のケースに対して,ほぼ線形的な高速化に成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度の開発した数値モデルを活用し,具体的なサイトの風況シミュレーションを実施する.得られて結果から,地形乱流のメカニズムを解明するとともに,新たな3次元視覚化技術を開発する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【オーグメンテッド・リアリティー(AR)並びにミクスト・リアリティ(MR)との連携技術の開発】本研究では,数値風況計算から出力される膨大なデータをAR,MRで視覚化出来る形式に変換し,屋内空間で風車サイトとともに3次元として風況を可視化する技術を開発する.これにより,利用者は屋内の展示空間において専用のカメラを通じてターゲットマーカーを見ると,あたかも風車サイトとその周辺に流れる複雑な風の流れが実在するかのように体感できる.【具体的な検討サイトにおける地形乱流の発生メカニズム解明および実証試験の実施】電力会社や風車メーカー,風力発電事業者の協力を得て,地形乱流に伴うトラブルに遭遇した風車情報を入手し,その状況をコンピュータで忠実に再現する.上記で開発した技術に基づき,風車がいかに過酷な状況にさらされているかを定量的に明らかにし,発電量低下や風車故障の原因となるウィンドリスクを特定する.さらに,それらのウィンドリスクの状況を,最新のコンピュータグラフィックス技術を用いて3次元として立体的に視覚化する. 提案する一連の解析作業に要する時間や,予測精度を検証するための実証試験を行う.これは,風況シミュレーション方法や結果の表現方法を調査・分析することが主たる目的である.具体的には,上記の個別開発項目を統合し,計算領域の選定から実際の風況シミュレーション,計算結果のアニメーション作成などを行う.
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