2011 Fiscal Year Research-status Report
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23651181
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
馬場 信弘 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10198947)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 土砂災害 / 防災 / 乱泥流 / 重力流 / 計算流体力学 |
Research Abstract |
地球温暖化に伴う異常な集中豪雨によって頻発し始めた大規模な土石流に対して,その対策の方向性と防御のための具体的な方法を提案するため,実験と計算によるシミュレーションを行ってその防御システムの実現可能性について検討を行った. 自然の力に逆らわず,地形を活かし,土石流の本質を利用するため,まず,土石流が接触する境界の形状が土石流の挙動や内部構造にどのような影響があるかについて,水槽実験によって調べた.土石流の進行を止めようとする防壁ではなく,質量,エネルギーの集中する先端部を横方向に分断し,先端部の質量,厚さを減らして,段階的に減速させることを狙い,障害物を設置した.境界形状や障害物の影響を定量的に評価するため,可視化実験における先端部の画像から先端部の運動エネルギーの分布とその時間変化を推定する方法を開発した. その結果,土石流の厚さに対して半分程度の障害物であっても,それを複数,設置することによって,重力流のエネルギーの70%程度まで散逸させることが可能であることが分かった.境界形状や障害物の設置位置によって先端部の内部構造が変化し,そのため重力流の発達段階が粘性による散逸が支配的となる段階に遷移したと考えられる. この結果から,土石流の発達段階を境界形状や障害物によって変化し,土石流の進行を止めることはできなくても,比較的小規模な障害物を設置することによって,そのエネルギーのかなりな部分を散逸させてその威力をそぐシステムが可能であることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験と同時に計算によるシミュレーションを行う計画であるが,まだ実験に対応する条件での計算が成功していない.土石流に含まれる粒子系の状態変化を基礎方程式に取り込む基本的な枠組みを作り,連続相および分散相(土砂粒子系)を同時に解く計算方法を開発した.セルより小さいスケールの粒子と流体の運動がセルより大きなスケールの運動に与える影響をサブグリッドスケール(SGS)モデルとして,この構成方程式に取り込むことを試みているが,まだ,粒子の沈殿など一部の機能しか機能していない.
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Strategy for Future Research Activity |
連続相および分散相(土砂粒子系)それぞれにおける応力と歪の関係式を構築する.この構成方程式は分散相内の相互作用が支配する固体状態から相互作用が無視できる浮遊状態までの状態に依存する.計算では支配方程式を離散化して有限個のセル上で積分するが,このセルは個々の粒子よりもはるかに大きい.セルより小さいスケールの粒子と流体の運動がセルより大きなスケールの運動に与える影響をサブグリッドスケール(SGS)モデルとして,この構成方程式に取り込む.沈殿とともに流動化や浮遊する際の粒子の状態変化をSGSモデルに取り組むことにより,この構成方程式を用いた計算結果を実験と比較することによって,改良を行っていく. 土石流の実験は一般に再現性が低い.粒子を含まない重力流の場合と比べると,進行速度についてのデータには大きなばらつきが生じる.これは,地震や豪雨の程度によって土石流が発生するかどうか,あるいは,どのような規模の土石流が発生するか,という実際の問題と本質的に同じである.土石流は,土砂の不安定な平衡状態から何らかのきっかけによって発生するため,この不安的な初期条件を再現することが難しい.本研究では,エアジェットを用いて粒子群を一定の条件で流動化させるための装置を開発し,傾斜する水槽において土石流を高い精度で再現するための実験方法を確立する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験装置の製作のための機材を購入する物品費および実験の遂行と解析のための補助員を雇用するための人件費を計上する.
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