2011 Fiscal Year Research-status Report
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23651195
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大川 恭行 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80448430)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | クロマチン / 転写 / RNAポリメラーゼII / 発現プロファイリング / リン酸化 |
Research Abstract |
本プロジェクトでは、RNAポリメラーゼIIのS2およびS5リン酸化抗体を用いたChIP-Seqによる高精度遺伝子座同定法(ADT法)を、Helaを用いて行った。更に、当初予定していた抗体に加えて、S5リン酸化抗体抗体、T4Glc化抗体の作出に成功し追加解析を行った。S5リン酸化抗体抗体を用いたChIP-Seqの結果は、従来の予期された通り主に転写開始点直近の上流に分布していた。また、S2リン酸化抗体を用いたChIP-Seqの結果は、転写開始点から転写終了点までを効率よくマーキングしており転写産物を反映していることが示唆された。これらの知見は従来のRNAポリメラーゼIIの報告と合致しており、本法がRNAポリメラーゼIIのゲノム上での挙動を精密に捉えていることが明らかとなった。更にマウスES細胞(mES)でも同様の解析を行いほぼ同様の現象が起こることを確認した。更に、Hela及びmES産物との細胞の両社でmRNA発言との相関性を解析するため、我々はmRNA-seqによるトランスクリプトーム解析を行い、同定された転写産物との分布を解析した。その結果、ゲノムへのマッピングの際の重複を排除した最も厳しい形でのトランスクリプトームの場合ではHelaの場合、3169遺伝子の発現を検出したが、ADT法により2およびS5リン酸化RNAポリメラーゼIIが重複する領域を同定したところ少なくとも9804遺伝子の発現を認めた。mES細胞では予期を大幅に上回り12000遺伝子以上の発現を確認した。これは、実際に発現した遺伝子のうち、30%程度しかmRNAとして認識されないことを意味している。定量的RT-PCRで検証したところ98%でその発現が確認できたことから、ADTによる探索が有効であることを裏付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初目的の部分以上に、S7P及びT4Gの知見を得ることに成功している。また、現在までの部分については既に論文として発表したOdawara J et al(BMC genomics 2012)。更に現在ES及びS7P及びT4Gの知見について論文投稿の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定に基づき引き続き解析を進める。転写産物の解析で、もっとも需要が見込まれているのは組織内での遺伝子発現解析である。幹細胞研究、発生学分野、疾患解析等多くの分野で、特定の細胞群を取り出して、その発現プロファイルを行うことは既にルーチンに行われている。しかし、純化可能な細胞の数は一般に微量であり、大規模なプロファイリングには向かず、定性、定量面の両方でいまだ解析に限界がある。我々の提唱するADT法は、微量サンプルの高精度な解析が可能であるため、この分野で強力なツールとなりうると考えている。微量サンプルの系として、まず我々は成熟骨格筋分化をモデル系として解析し評価を行う。その検体として核ソーティング法により、103~106の広いレンジで核を組織より得て用いる。ADT法の感度検証に最も適している。また、血液細胞等の外の微量サンプルでの解析も同様に進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おもに次世代シークエンサーによる解析のための消耗品およびライブラリー構築のための分子生物学用試薬に用いる。
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