2011 Fiscal Year Research-status Report
自己複製能をもつRNA酵素を基盤とした人工生命体モデルの創出
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23651203
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齊藤 博英 京都大学, 次世代研究者育成センター, 准教授 (20423014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 慎一郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50372446)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | RNA / リポソーム / 人工細胞モデル / 生命の起源 / 実験進化 |
Research Abstract |
生命の起源において、核酸などの化学物質から、進化する生命システムがいかにして誕生したのかという問題の解決は、生命科学が目指す大きな目標の一つである。本研究では、我々が独自に開発した、自己連結する能力をもつ人工RNA酵素を基盤として、新しい人工細胞モデルシステムを創出する。この人工細胞モデルでは、内部化学反応システム及びそのシステムを内包する膜 (境界条件)の両方がRNA酵素から構築される。本年度は、RNA からなる人工膜モデル構築の基盤技術を開発した。さらに、RNA構造体が原子間力顕微鏡により確認された(野村)。設計指針としては、RNA同士の配列依存的 なループ・レセプター相互作用を利用する。この引力を複数の同種分子でシェアすることにより、分子間相互作用のフラストレーションを導き、流動的な高次構造の形成に用いる。 また、自身の配列を連結する能力をもつ人工RNA酵素の創製に成功した(齊藤)。天然に触媒分子として働くRNA、リボザイムが発見されて以来、遺伝子と代謝(触媒)機能の両者を兼ね備える生体分子として、RNAは生命の起源研究において注目されている。特に、RNA同士の連結反応を触媒するリガーゼリボザイムの存在が生命初期の進化に非常に重要であると考えられている。しかし、天然のリガーゼリボザイムは発見されていない。そこで、人工的なリガーゼリボザイムの創成を通して、RNAの自己複製の研究がおこなわれている。本研究では、人工リガーゼリボザイムを用い、RNA自己増幅系のモデルを新たに設計・構築することにより、新観点からRNAワールド仮説の実験的検証をおこなった。この知見を基に、RNA構造モチーフを利用し、RNA間のリガーゼ反応を基本とした新規RNA自己複製システムモデルを設計・構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究計画に記載した、自身の配列を連結する人工RNA 酵素によるRNA自己増幅系のモデルを新たに設計・構築することに成功した。RNAからなる人工細胞膜モデルについても、現在解析を進めている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で構築した人工RNA酵素を用いた構造体形成の評価を研究分担者と協力し、例えば微細構造の評価は専門業者に電子顕微鏡観察を委託するなど、効率よく進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたアルバイト雇用の学生が決まらず、人件費、それにかかる物品費の使用が進まなかったため、 当該研究費を次年度に使用することにした。 今年度分の使用計画としては、アルバイト雇用者の謝金及びそれにかかる実験消耗品の購入へ充填し、本研究計画を効率よく進めたいと考える。
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Research Products
(35 results)