2013 Fiscal Year Annual Research Report
代謝機能解析及び物質生産用宿主として利用可能な分裂酵母大規模遺伝子削除株の取得
Project/Area Number |
23651206
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹川 薫 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50197282)
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Keywords | 分裂酵母 / 大規模遺伝子削除 / 物質生産 / 染色体工学 |
Research Abstract |
本研究は分裂酵母において、大規模に遺伝子が削除され、遺伝子発現制御機構の解析や異種タンパク質生産などの様々な研究に適用可能な実験株を創製することを目的としている。これまでの研究で、分裂酵母の第1および第2染色体上の配列で削除可能な領域約660kbpを削除した株を創製し、本破壊株の諸性質の検討を行った。その結果、細胞形態に若干の異常は認められ、生育速度もやや遅くはなるが大きな問題は生じていないことが明らかになった。そこで今年度は本遺伝子削除株を物質生産用の宿主として利用するために、染色体上に外来遺伝子を組み込む系についても解析を行った。分裂酵母のレトロトランスポゾンTf2はゲノム上に13個のコピー配列が存在する。Tf2を標的とした相同組換えでは13個のTf2座への安定したマルチコピー遺伝子の組込みが可能であることが期待される。遺伝子削除株でTf2の相同配列を両端に持ち、ura4マーカーとEGFPを導入した遺伝子断片を作製し、分裂酵母野生株への形質転換を行った。その結果、13ヶ所のTf2座では形質転換用断片の組込み効率に差があることが明らかになった。さらに、複数のTf2座に組込まれた株は栄養培地で継代培養を行なっても安定にEGFPが発現しており、本法が分裂酵母の異種タンパク生産に有効であることが示された。以上の結果から、本申請研究で創製した分裂酵母大規模遺伝子削除株は異種タンパク質生産用の宿主として利用可能であることがわかった。
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Research Products
(4 results)