2011 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞の樹立効率化のためのへテロオリゴマーを介した癌抑制タンパク質p53阻害
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23651210
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂口 和靖 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00315053)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 蛋白質 / へテロオリゴマー / 転写活性 / iPS細胞 / 蛋白質安定性 |
Research Abstract |
様々な組織や臓器の細胞に分化する能力をもつiPS細胞は再生医療や創薬への応用が強く期待されている。しかしながら、現在iPS細胞の作製時におけるp53-p21経路の活性化により樹立効率が極めて低いことが大きな問題点となっており、樹立効率を改善する方法の開発が必須である。 本研究では、iPS細胞の樹立効率向上のため、対象となる標的細胞において、p53四量体形成ペプチドによる細胞内p53タンパク質とのヘテロ四量体形成を基盤として、p53機能を効率的、かつ一過的に阻害する方法の開発を実施している。 本年度は、p53の四量体形成ドメインペプチドのN末端に、Effector segment として細胞導入効率を高めるポリリシン配列と核移行シグナル配列を付加したペプチドES1-p53Tetをデザインし、化学合成した。ES1-p53Tetは、蛍光タンパク質レポーターアッセイ系におけるp53転写活性およびUV刺激による内在性のp53依存的p21発現を抑制した。一方、ES1-p53Tetの単量体型変異体やp53の四量体形成ドメインのみでは抑制は見られなかった。さらに、ES1-p53Tetは、培地への添加により効率よく細胞内に取り込まれた。導入したペプチドの細胞内での分解を蛍光強度で解析したところ、ペプチドは、導入後10時間程度で半減し、48時間後にはほぼ分解されることが示された。また、ペプチドの二次構造解析および野生型p53四量体形成ドメインとのプルダウンアッセイから、この阻害は阻害ペプチドと内在性p53とのヘテロ四量体形成を介したp53特異的な機構であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成24年度に実施予定であった細胞に対する解析を前倒しで実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
より高い効率を有するp53阻害ペプチドの開発を目指し、これまで得られた成果をフィードバックし、細胞への高い導入効率、細胞内における適切な寿命、および高いp53転写活性阻害能を有する阻害ペプチド配列の最適化を実施する。得られた53阻害ペプチドを用いて、正常細胞におけるp53阻害ペプチドの効果を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
経費節減の結果、生じた使用残について、データ解析のための実験補助人件費に使用する。
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