2012 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞の樹立効率化のためのへテロオリゴマーを介した癌抑制タンパク質p53阻害
Project/Area Number |
23651210
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂口 和靖 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00315053)
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Keywords | 蛋白質 / へテロオリゴマー / 転写活性 / iPS細胞 / フラグメント縮合 |
Research Abstract |
iPS細胞は、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力をもち、疾患モデル、再生医療および創薬への応用が強く期待されている。しかしながら、現在iPS細胞の作製時におけるp53-p21経路の活性化により樹立効率が極めて低いことが大きな問題点となっており、樹立効率を改善する方法の開発が必須である。 本研究では、iPS細胞の樹立効率向上のため、対象となる標的細胞において、p53四量体形成ペプチドによる細胞内p53タンパク質とのヘテロ四量体形成を基盤として、p53機能を効率的、かつ一過的に阻害する方法の開発を実施している。 本年度は、より効果的に細胞内p53活性を阻害するため、Effector segmentの検討を実施した。まず、Effector segmentをp53の四量体形成ドメインペプチドのN末端に効果的に付加するため、フラグメント縮合による長鎖p53ペプチド合成法の最適化を実施した。その結果、Effector segment付加p53ペプチド合成法を確立した。 また、p53転写活性阻害の解析のための改良型生細胞アッセイ系を構築した。この系においては、蛍光タンパク質融合p53発現ユニットとp53依存的プロモーターの下流に赤色蛍光タンパク質mCherry発現ユニットを同一のプラスミドに持つため、p53タンパク質量およびp53依存的p21転写活性を同時にかつ定量的に解析することが可能となった。 今後、申請者は開発した阻害手法を基盤として、フラグメント縮合法により多様なペプチドを効率的に作製し、さらなるペプチド配列の精密化および最適化を実施していく。これより得られた最適化p53活性阻害ペプチドは、iPS細胞樹立の過程において実用化されることで、その効率的な作製へと大きく貢献することが期待される。
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