2012 Fiscal Year Research-status Report
官能基特異的反応に着目したスフィンゴシン類の選択的捕捉法の開発
Project/Area Number |
23651211
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
門出 健次 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 教授 (40210207)
|
Keywords | スフィンゴシン / グルタルアルデヒド / 捕捉 / 2-アミノ-1,3-ジオール / 官能基特異的 / 化学特異的 |
Research Abstract |
補足剤の基本的骨格を有するグルタルアルデヒドが、合成スフィンゴシンと効率的に反応するかを確認した。アルデヒドとターゲット化合物は室温、中性で速やかに反応した。また、立体異性体についても同様の反応が確認された。昨年度の実験により、高感度検出の必要性が生じた。従来のTLC法は煩雑であり、その検出感度の低さも今後の問題となりうる。そのため、アミン類の蛍光検出試薬である既知のOPA誘導化を実施した。HPLC、蛍光検出器との組み合わせにより、スフィンゴシンの高感度検出法を立ち上げることができた。これにより、条件検討の速度を向上させることができた。 p-ヒドロキシケイ皮酸をアンバーライト存在下、メチルエステルとした後、LiAlH4による1,2還元、DDQによりαβ不飽和アルデヒドとした。フェノール性水酸基をTBDPSで保護した後、エチルビニルエーテルとDiels-Alder型反応により環状汗タール誘導体とした。その後TBAFによりシリル基を脱保護した。次に、Merrifield樹脂とエーテル型結合を介して、担持させた。最後に塩酸を用いてアセタール部分を開裂させ、dihemiacetal構造を再現させた。樹脂への固定化は、IRスペクトルにより確認した。特に、カルボニル基の吸収は樹枝上のグルタルアルデヒド部分の構造を明確に示していた。今回開発されたグルタルアルデヒド樹脂は、固定化されているため、極めて安定であり、重合することなく、約1ケ月後も存在することがIRスペクトルから確認された。本樹脂を用いて、液相中のスフィンゴシンの補足実験を実施した。生体試料を鑑み、血清を用いることとした。血清中に一定量のスフィンゴシンを添加し、本樹脂による捕捉・脱離能の評価を行った。予備的な結果ではあるが、血清中の遊離スフィンゴシンの濃縮、検出を確認することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、検出にTLCを用いていたため、極めて低い感度でしか検出できなかったが、蛍光検出法を採用することにより高感度化に成功、これにより、条件検討が飛躍的に進行した。また、樹脂への固定化は、当初、化学合成上の困難が予測されたが、経験者等のアドバイスにより、高収率で大量合成が進行し、充分量の樹脂の確保に短期間で成功することができた。また、本樹脂がリサイクル可能であり、また、安定であることが判明した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究は、当初の計画以上に進んでいるので、当初の計画以上にアプリケーションを増やして行く予定である。一部の合成反応において、極めて長い反応時間と高い反応温度を必要とする段階がある。昨年導入したマイクロウェーブ法の使用を検討してみる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
経費の節減の結果生じた使用残について、物品費(消耗品)に使用する。
|