2011 Fiscal Year Research-status Report
タグ技術を用いた多数SS結合蛋白質の新規改変法及び優れた最小ルシフェラーゼの開発
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23651213
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
黒田 裕 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10312240)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | SS結合ミスマッチ / 折り畳み / 溶解度向上タグ / 可溶化タグ / 逆相HPLC / 天然状態 / 溶解度向上ペプチド系タグ / SEPタグ |
Research Abstract |
近年、レポーター蛋白質(GFPなど、発光活性を有する標識蛋白質)を用いたバイオイメージングは分子生物学の必須なツールとなっており、レポーター蛋白質の発光活性の制御は重要な課題である。この課題に対して、我々は、生物発光を触媒する最も小さな酵素であり、多数のSS結合を有するガウシア由来のルシフェラーゼ(以下、GLuc)の改良を目指して以下の研究を実施している。本研究の大きな挑戦は、我々が開発した溶解度向上ペプチド系タグ(SEPタグ)を用いて多数のSS結合を有するGLucを大腸菌で可溶性画分で発現させることで、汎用的な系でその改変実験を可能にすることである。さらに、可溶化画分で発現したGLucを効率的にスクリーニングするには、その発光活性を未精製状態で測定することも必要である。H23年度の研究では、両課題が解決可能であることを示し、GLucのスクリーニング実験の技術基盤を完成させた。具体的には、多数のSS結合を有するGLucの溶解性を向上させた発現系を作製した。次に、未精製状態のGLucの活性を測定するために、溶菌活性を有するVanXとGLucの共発現系を構築した。さらに、ランダムPCRによる変異の挿入法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年の計画停電及び節電で計画はやや遅れたが、GLucの改良という本計画の最終目的を達成するための実験はほぼ実施できた。H23年度の具体的な達成項目は以下の通りである。(1)GLuc発現系の構築:本計画では、C末端にSEPタグを付加して溶解性を向上させたGLucの発現系を構築した。(2)未精製GLucの発光活性測定:最近、我々が解明した溶菌活性を有するVanXと共発現することでGLucを大腸菌から培地中に放出させ、精製せずに発光活性を測ることを可能にした。(3)GLucの発現条件・溶菌条件:培地の種類、アエレーション、発現温度、発現時間を最適化した。(4)高Mg濃度・低テンプレート濃度下でTaqポリメラーゼを用いることで、ランダムPCRによる変異を挿入した。(5)GLuc配列中(220残基)に1、2残基の変異(PCRエラープローン)を導入したGLuc発現系を作製するための条件検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)スクリーニング: GLucの基質(コレンテラジン)を培地に直接添加することによって触媒される発光を基に、ランダンム変異が挿入されたGLucを探索する。(2)変異配列の解析:発光色が変異したクローンの塩基配列を解析し、変異個所を特定し、改良GLucを導き出す。(3)改良GLucの解析:上記で選ばれた改良GLucの(熱)安定性と活性を解析し、特に優れた性質を有する変異体を同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品:60万円(合成DNA、組換えDNA用試薬、蛋白質発現・精製用試薬、電気泳動関係試薬、一般試薬、試験管類)その他:60万円(学会発表費、研究補助、研究成果投稿料、機器部品関係)
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