2011 Fiscal Year Research-status Report
カルシウムイオンにより開始される新規プロテインスプライシング系の開発とその応用
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23651216
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二木 史朗 京都大学, 化学研究所, 教授 (50199402)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | カルモジュリン / インテイン / プロテインスプライシング / カルシウムイオン / 緑色蛍光タンパク質 / ペプチド / ヘテロダイマー / 細胞 |
Research Abstract |
プロテインスプライシングは、近年、タンパク質工学の分野で注目されている反応機構であり、スプライシング反応を特定の方法を用いて制御することにより、目的のタンパク質の生成を制御することが可能である。本研究では、カルシウムイオンのアクセプターとして、カルモジュリン由来のカルシウムイオン依存性ヘテロダイマー形成モチーフであるHLH-III およびHLH-IV を用い、スプライシング反応をカルシウムイオン刺激によって制御する新しい方法の開発を目指す。この方法ではHLH-III およびHLH-IV の配列のタンデム化、あるいはアミノ酸変異により、カルシウムイオンの結合親和性やタンパク質の生成効率を変化させ、様々なカルシウムイオン濃度に呼応し、目的のタンパク質を細胞内に生成させることが期待できる。 HLH-III およびHLH-IVのヘテロダイマー形成能を確認するため、これらに対応するペプチドをFmoc固相合成法により化学合成し、高速液体クロマトグラフィーで精製後、高純度の目的ペプチドを得た。双方のペプチド共存下では、カルシウム添加により8-anilinonaphthalene-1-sulfonic acid(ANS)の蛍光強度の増強と蛍光波長の青色シフトが認められたが、片方のペプチドのみではこれが認められず、HLH-III およびHLH-IVがカルシウム存在下にヘテロダイマーを形成することが確認できた。これらのペプチドとインテイン、EGFPとの融合タンパク質のプラスミドの調製と融合タンパク質の細胞内発現に先立ち、これらの2つのペプチドを含むカルモジュリンのC端側ペプチド(77-148位)を遺伝子工学的に調製した。カルシウムイオン存在下では、同様の挙動が認められたが、マグネシウム存在下ではこのような挙動は見られず、カルシウム特異的なライゲーションの可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HLH-III およびHLH-IVのヘテロダイマー形成条件の確認等に時間を費やしたため、予定よりやや遅れた進行度合いとなっているが、この結果を基に研究を加速させ、24年度中に目的の達成を目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
CaM HLH-III、 HLH-IVと緑色蛍光タンパク質(EGFP)、インテインのN 末端側、ならびにC 末端側に対応する融合タンパク質を調製する。カルシウムイオン存在下に、これらの二量体の形成とスプライシングの結果、EGFP が生成することを確認するとともに、カルシウムイオン濃度に応じたEGFP生成のキネティクスなどに関しての情報を得る。これらのタンパク質を発現させた培養細胞に、電気刺激等によりカルシウムイオンを流入させ、 EGFP の生成を指標に本アプローチの有用性を立証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として、消耗品(試薬類、プラスチック器具)、ならびに旅費(成果発表、情報収集)に使用予定。
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