2013 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン合成酵素の新奇基質認識機構の解明による除草剤耐性植物の創出
Project/Area Number |
23651219
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷 俊治 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (00127276)
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Keywords | グルタミン合成酵素 / 窒素同化 / 蛋白質工学 / 活性中心 |
Research Abstract |
グルタミン合成酵素(GS)はGluとアンモニアからGlnの合成反応を触媒し、ATPによるGlu側鎖のカルボキシル基のリン酸化が反応の駆動力となる。Gluの類縁体であるフォスフィノスリシンやメチオニンスルフォキミドは、リン酸化中間体の生成段階で反応を阻害する。活性中心およびその遠位領域に部位特異的アミノ酸置換を導入した酵素を作製し、変異酵素の基質認識と阻害剤に対する感受性を調べて、基質と阻害剤に対する親和性を区別して変化させる分子改変を検討した。GSはサブユニット5つのリング構造が上下に2つ重なった10量体構造をとる。活性中心は同一リング内の各モノマー間にあり、リング間の接触領域とは距離的に離れている。2リング構造はPhe150とその周辺残基間による比較的狭い領域の相互作用で保たれており、変異体F150GやF150Vでは1リング構造の分子種が生じ、Gluに対するKmがWTの約50倍に増加した。さらにPhe150近傍の分子表面の残基を網羅的にAlaに置換してGluに対するKmを調べたところ、リング間接触部位から活性中心入り口にまたがる領域にKmが増大する変異がマップされた。これらの基質親和性が大きく低下した変異体でも、阻害剤に対する感受性は大きくは変化しない。一方、活性中心に位置するHis249の変異体では、基質と阻害剤両者ともに親和性が変化した。この現象を理解するために、変異部位が活性中心内に位置するH248Qと活性中心の遠位領域に位置するF150V、G241A、W243Aの結晶構造を決定したところ、いずれも立体構造の変化が変異部位に局限し、全体構造にはほとんど変化がなかった。これらのことから、基質親和性は活性中心とリング間相互作用領域にかけての分子表面構造により決定され、阻害剤に対する感受性の変化をもたらす変異は主に活性中心に限定にされることが分かった。
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Research Products
(1 results)