2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23651223
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松浦 和則 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60283389)
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Keywords | 合成ウイルス / DNA / ペプチド / 自己集合 / 複製 / 無細胞発現系 |
Research Abstract |
これまで、生体内で自己複製するウイルスを人工合成した例がいくつか知られているが、これらはいずれも、短いDNAを多数繋ぎ合わせて数千塩基長のゲノム核酸とし、それを大腸菌に導入するという煩雑な操作が必要であった。本研究では、完全化学合成による比較的短いDNAとペプチドナノカプセル(合成ウイルスキャプシド)からなる「最小限の人工ウイルス(minimal artificial virus)」を構築するための方法論を開拓することを目的としている。 本年度は、DNAを表面修飾した合成ウイルスキャプシドの構築とその特性解析を実施した。5'末端アミノ化したDNA(dA20)とトマトブッシ―スタントウイルス由来β-AnnulusペプチドのCys残基をSulfo-GMBSリンカーを用いて架橋し、HPLCにて精製した。このdA20-β-Annulusペプチドコンジュゲートは、DNAの静電反発にも関わらず、0.025 mMという比較的低濃度であっても、水中で約70nmの球状構造体を形成することがわかった。この合成ウイルスキャプシド表面に提示されたdA20は、相補的DNAであるdT20やpoly dTと部分的にハイブリダイゼーションすることが、二重鎖特異的蛍光色素DAPIの結合実験から明らかとなった。また、dA20被覆合成ウイルスキャプシドのζ電位がマイナスの電位を示したことから、DNAが表面に被覆されていることが示された。さらに、dA20被覆合成ウイルスキャプシドに相補的なpoly dTを添加すると球状構造がさらに集積した葡萄状の構造体がTEMにて観察されたのに対し、非相補的なpoly dAを添加した場合は、孤立した球状構造が観察された。つまり、DNAの相補的ハイブリダイゼーションにより、合成ウイルスの組織化に成功したと言える。
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