2011 Fiscal Year Research-status Report
「未知生育因子/1細胞探索システム」の構築と未培養微生物の安定培養の実現
Project/Area Number |
23651227
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
菅野 学 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究員 (10462847)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 微生物 / 細菌 / 難培養微生物 / マイクロデバイス |
Research Abstract |
本研究は、新しい微生物培養デバイスの構築を通じて、これら難培養の未知微生物群の安定培養を実現することを目的とする。本目的を達成するためには、要素技術の開発に第一に取り組む必要があり、当助成初年度は以下の基礎検討を実施した。1、環境試料の採取膨大かつ多様な微生物が存在し、そのほとんどが難培養な未知微生物であることが広く知られている、湖沼水や森林土壌試料の採取を行った。さらに、水田で栽培されたイネ個体を採取し、その根内に存在する微生物群を対象に分離培養や16S rRNA遺伝子ライブラリー法を行い、イネ根内に共生する微生物の多くが未知微生物群と示唆されることを確認した。以下の研究では、本研究グループで保管される湖沼底泥試料、今回採取した湖沼水や森林土壌試料、イネ根試料を用いる。2、未培養微生物の選別技術の開発未知微生物の培養を効率化するには、培養デバイスに供試する前に未知微生物の細胞濃度を高めることが望まれる。環境中の多様な微生物種の一握りのみに可培養菌が限られる原因の1つとして、ある特定の生育速度の早い菌が人工培地上で優占して選抜されやすいことが挙げられる。すなわち、環境微生物群集から生育速度の早い菌を選択的に排除できれば、生育速度が著しく遅い難培養微生物の細胞濃度を高めることが可能となる。しかし、生育速度の早い菌を選択的に排除する技術の報告例はない。本研究では、DVC法の原理と染色剤CFDA-AMを用いた蛍光染色、セルソーターによるハイスループットな分取を組み合わせることで、上記の選別技術を確立することを目的とし、検討した環境試料のいずれも生育速度の早い菌(伸長細胞)と遅い菌(非伸長細胞)に分けられることを確認した。次年度は、確立した技術によって系統的に新規な未培養微生物が選別されているかの検証を行うとともに、1細胞の分取と培養が可能な微生物培養デバイスを試作・適用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災により本研究課題の開始時期が遅れたため、本年度に微生物培養デバイスの試作は行えなかったものの、当該分野において1細胞の分取に用いられる微小デバイスについて、学術論文等を通じた情報収集を綿密に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き本研究課題にかかる実験に専念するとともに、成果の発表(論文や国内、国際学会)を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の残金(1万円以下)と次年度に請求する研究費を使用し、本研究のさらなる進展を図る。具体的には、培養デバイスの試作費の他、蛍光試薬や解析機器の消耗品維持費、微生物培養に必要なガラス器具やプラスチック器具の購入費に必要となる。他に、当該分野に関連の深い国内および国際学会に参加し、成果発表を行うとともに関連分野の研究動向の把握に努める。
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