2012 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルバイオロジー的方法論を活用した『人工ビオチン』誘導体の開発と応用
Project/Area Number |
23651231
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺井 琢也 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (00508145)
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Keywords | 分子認識 / バイオテクノロジー / 有機化学 / ケミカルバイオロジー / 化合物ライブラリー |
Research Abstract |
平成24年度は、平成23年度に実施したスクリーニングの結果を基に以下の実験を行った。 1.ストレプトアビジン結合分子の探索・・・23年度の検討では卵白アビジンを用いて評価を行ったが、生物応用を考えると非特異的な結合が起こりにくいとされるストレプトアビジンを用いるほうが望ましい。そこで、前年度得られた化合物群に対してストレプトアビジンとの結合試験を行い、天然ビオチンとは異なる骨格を有する新規ストレプトアビジン結合分子を見出した。ここで得た分子について蛍光偏光法ならびにSPRにより乖離定数を求めたところ、強いものでは1マイクロM程度であった。 2.ドッキングモデルの作成・・・東京大学創薬オープンイノベーションセンターの多田幸雄研究員と協力して、既報のX線結晶構造解析の結果を基に新規結合分子とタンパク質との相互作用様式をシミュレーションした。これにより結合に重要と思われる部位が同定され、誘導体の設計に対する一定の指針が得られた。 3.新規結合分子とストレプトアビジンとのX線結晶構造解析・・・大阪大学大学院理学研究科の杉山成准教授と共同で、得られた新規結合分子とストレプトアビジンとの複合体X線結晶を取得した。この結晶をSpring8で解析することで、化合物が確かに天然ビオチンと同一の結合ポケットに入っていることを証明した。また詳細な結合様式の解明により、更に強力な結合分子を合成するための明確な設計指針が得られた。 期間全体の成果について述べると、本研究において研究代表者らは、ケミカルバイオロジー研究に汎用されるビオチン・アビジンシステムの更なる高機能化を目的として、16万に及ぶ化合物ライブラリの中から新規(ストレプト)アビジン結合分子の探索を行った。その結果、1マイクロMオーダーで目的タンパク質と結合する新規化合物を得ることに初めて成功した。更に、その結合様式についても明らかにした。
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Research Products
(11 results)