2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23651232
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畑中 研一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70167584)
|
Keywords | 糖 / 糖鎖 / 生体分子 / 細胞・組織 / 酵素 |
Research Abstract |
先ず、最適な診断条件を確立することを目的として研究を行った。ドデシルラクトシドを細胞培養の培地に添加すると、細胞内に取り込まれ、ゴルジ体に輸送された後、糖転移酵素の作用で糖鎖伸長が起こり、再び細胞膜を通過して細胞外に放出される。細胞への取り込み、ゴルジ体への輸送、糖転移反応の有無、細胞外への放出、という4つの過程それぞれについて要する時間を測定した。培地中へのドデシルラクトシド(診断分子)の添加から一定時間後の細胞画分と培地画分の化合物組成を分析することにより、診断に要する時間を推定した。取り込みに要する時間は、細胞内のプライマー濃度変化から推測した。ゴルジ体への輸送は、蛍光ラベル化合物を用いたが、細胞質にも移動したため、対策を検討中である。また、糖転移反応に関しては、細胞画分と培地画分の糖鎖伸長化合物の時間変化量から推定した。放出速度に関しては、細胞画分と培地画分に存在する糖鎖伸長化合物の比の時間変化によって推測した。 次に、薬剤投与における細胞の糖代謝異常を診断分子で測定した。病変のモデル系として酵素阻害剤などの薬剤を投与した細胞を用いて、ドデシルラクトシドの「細胞診断分子」としての可能性を探った。GI-1細胞、ONS-76細胞、MDCK細胞、Cos7細胞、RERF細胞などの細胞培養系に、酵素薬剤を投与し、前述のドデシルラクトシドの同時投与により、糖鎖伸長の変化を観察した。薬剤を投与した群と投与していない群でのドデシルグリコシド画分のHPTLCプロフィールを比較することにより、薬剤投与による影響(細胞の糖代謝異常)を測定することに成功した。 さらに、糖タンパク質糖鎖の異常合成を診断することも検討した。細胞にドデシル(N-アセチルグルコサミニル)マンノシドを投与して、ジストログリカン糖鎖の形成を観察した。フルオラスグリコシドに関しても同様の検討を行った。
|
Research Products
(2 results)