2011 Fiscal Year Research-status Report
活性依存型阻害剤をプローブとしたシグナル伝達因子の細胞内活性評価法の開発
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23651233
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 達哉 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (90280627)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 活性依存型阻害剤 / mTOR / カルパイン / ワートマニン / TPCK / E-64-d / 抗ハプテン抗体 |
Research Abstract |
栄養応答性TOR経路においてTOR自体を標的とするワートマニン、TOR活性化機構の未同定因子を標的とするTPCK、酵母アルカリ環境応答性Rim101経路においてプロテアーゼRim13を標的とするE-64-dという3種類の活性依存型阻害剤に対し、その修飾基をハプテンとした抗体を作製した。抗ワートマニン抗体は、HEK293細胞を用いた実験において、内在性mTORのワートマニン化をウエスタン法により検出することが可能な力価と特異性を備えていた。そこで、ワートマニン処理条件の最適化を行った後に、mTORに対するワートマニンの反応性が培地中のアミノ酸栄養の有無により変化するかどうかをこの抗体を用いて調べたところ、mTORC1活性が低下することが確認されたアミノ酸飢餓条件下においても、反応性の低下は認められなかった。抗TPCK抗体は、哺乳類培養細胞を用いた実験において、ウエスタン法により複数の内在性タンパク質のTPCK化を検出することができた。これらのTPCK化タンパク質の同定が進行中である。さらにそれに加えて、mTORそれ自身がTPCK化されることを新たに見出した。mTOR上のTPCK化標的残基の同定を進めている。抗E-64-c抗体は、ハプテンを抗原としたELISAでは十分な力価と特異性とを備えていたが、E-64-c化したパパインをウエスタン法により検出することができなかった。ウエスタン法の最適化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に計画していた3種類の抗体を作製し、2種類については期待した力価と特異性を有していることを確認した。また、計画どおりにこれらの抗体を用いたウエスタン法の条件を確立し、標的シグナル伝達因子の活性化状態を評価することが可能になった。これにより、次年度に計画していたmTOR活性化状態の評価に関する実験を既に一部行った。また、TPCK化標的分子の同定する過程で、計画には無いことであったが、mTOR自身のTPCK化を見出した。残る1種類の抗体については、十分な力価と特異性が確認できず、次年度にウエスタン法の最適化が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
残る抗E-64-c抗体を用いた活性化状態評価法の確立を目指す。また、今年度に既に確認したmTORのワートマニン化が、アミノ酸栄養に不応答性のmTORC2画分が恒常的に活性を持っていることによって、mTORC1画分に起こっている変化がマスクされてしまっている可能性があるため、mTORC1画分におけるワートマニン化を確認する。さらに、TPCK化の未知標的の同定と、mTOR上の標的残基の同定を進め、アミノ酸栄養応答経路におけるTPCK標的分子の機能を明らかにする。計画の進展に伴うこれらの変更に加え、当初計画に沿ったシグナル伝達因子の活性制御機構と活性化の空間的制御の解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度と同様に、現有の設備を用いて研究を進めるため、設備備品の購入は行わない。また、効率よく研究を遂行するために、一時的な研究支援者の雇用を計画している。
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