2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23651234
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
貞許 礼子 お茶の水女子大学, お茶大アカデミック・プロダクション, 特任助教 (50372264)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | バクテリア / グラム陰性菌 / リポ多糖 / O抗原 / ライブイメージング |
Research Abstract |
ヒトなど脊椎動物の腸には、常在菌といわれる細菌が種類も数も多く存在し、それら腸内フローラが免疫システムや宿主の成長に大きな影響を与えていることが近年明らかにされてきている。腸内細菌と宿主との関連を分子レベルで議論するためには常在菌の空間的位置や増減をモニタリングする必要がある。しかし、ここで未解決で重要な問題は腸内細菌を可視化する方法論である。本研究では外部から加えたプローブ分子を腸内細菌に取り込ませることによって腸内細菌の可視化を行う新しい手法に挑戦する。グラム陰性菌に効果的な分子の開発を検討する。グラム陰性菌の表層には、ペプチドグリカン(バクテリア細胞壁)の外側に外膜がある。この外膜は、主にリポ多糖と呼ばれる糖脂質から形成されている。リポ多糖の糖鎖部分は、菌株によって異なることが多いO抗原多糖部位と、グラム陰性菌でほぼ共通構造のコア領域(KDOという特徴的な糖が含まれる)がある。まず、グラム陽性菌に有効だったN-レブリノイルグルコサミン1-リン酸誘導体と類似で、グラム陰性菌の外膜透過性を考えて親水性を上げた化合物について検討した。これは、O抗原糖鎖にN-アセチルグルコサミン部位をもつ株について有効であることがわかった。さらに、O157などのO抗原糖鎖に特徴的に見られるペロサミンという糖をターゲットにした化合物を合成し、O157特異的な標識について検討したところ、ペロサミンをもつ株だけを蛍光染色できた。O抗原多糖を利用して、グラム陰性菌を株選択的に修飾できる手法としてその応用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KDO誘導体を使ったリポ多糖コア領域の修飾についても検討を行っていたが、これについては類似研究が最近になって一流紙に報告されたので、再検討が必要となった。しかしながら、O抗原多糖に注目した修飾法に関して、注目すべき結果がえられたので、国際シンポジウムでの発表が予定されているほか、論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
O抗原多糖部位を利用した表面修飾について、さらに適用例を増やして汎用性を高めるとともに、ライブイメージングとしての利用を検証していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文投稿にかかる費用、学会発表にかかる費用のほか、平成23年度と同様に蛍光試薬、フローサイトメータ測定の費用、バクテリア培養、実験用透明メダカ飼育の費用などに使用する。
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