2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内還元化を伴う窒素飢餓と疾患のレドックス可視化技術を用いた情報伝達機構解明
Project/Area Number |
23651235
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阪井 康能 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60202082)
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Keywords | レドックス / ペルオキシソーム / チオレドキシン |
Research Abstract |
前年度までの本研究課題においては、ペルオキシソーム形成不全細胞の細胞質が通常細胞と比較して還元状態となっている分子メカニズムを研究し、結果としてペルオキシソーム機能欠損による極長鎖脂肪酸の代謝阻害(蓄積)が細胞内還元化を引き起こす主要な要因であることを見出した。本年度は、細胞質の還元状態が見出されたペルオキシソーム形成不全CHO(Chinese Hamster Ovary)細胞および極長鎖脂肪酸を継続投与されたCHO細胞を対象としたメタボローム解析を行い、これらの細胞に共通して増加する低分子化合物を複数同定した。 さらに本年度は本研究代表者らが開発した、細胞内レドックス状態を可視化するためのセンサータンパク質レドックスフロールが、電子供与タンパク質のひとつチオレドキシンにより還元化されることを生化学的に証明した。そのうえで、出芽酵母の細胞質に存在するチオレドキシンのひとつチオレドキシン2の欠損が、栄養飢餓ストレスと高温ストレスの双方にさらされた場合の細胞質の酸化をもたらし、結果的に細胞の生存率低下につながることを見出した。 これらの研究結果から、1)脂質代謝異常がもたらす細胞内レドックス状態の還元化という新たな生理学的現象を見出し、そのメカニズム解明の端緒となる代謝物量変動を見出した。また、2)細胞内レドックス状態を可視化するセンサータンパク質の反応機構をより詳細に理解し、栄養飢餓を含む複数のストレス付加条件での細胞内レドックス・ホメオスタシスに、細胞質チオレドキシンが機能することを初めて見出した。
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