2012 Fiscal Year Annual Research Report
分子内回転の制御を基軸とするタンパク質オン/オフ蛍光プローブの開発
Project/Area Number |
23651242
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
青山 安宏 同志社大学, 理工学部, 教授 (00038093)
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Keywords | BODIPY / 蛍光 / 回転阻害 / 蛍光センシング / 抗生物質 / 抗生物質修飾酵素 / 酵素 / 酵素阻害剤 |
Research Abstract |
蛍光はエネルギー散逸過程であり、分子運動に依存する。本研究の目的は、弱蛍光性の色素に相互作用部位を導入し、標的分子との錯形成に際する立体規制を通じ分子内回転を阻害、これにより高蛍光を誘起し、これを生体のような夾雑系に適用可能な蛍光センシングシステムに組み立てることである。色素としてフェニル-BODIPY(相互作用によりフェニル-BODIPY単結合の回転を阻害)を選んだ。24年度の研究として、フェニル基にボロン酸部位や抗生物質カナマイシン部位を導入したプローブを合成し、それぞれの部位の標的である糖やリボソーム(細胞内でタンパク合成を担う)、カナマイシン修飾酵素(カナマイシン耐性菌体内でカナマイシンを化学修飾する)の蛍光センシングを検討した。結果はいずれも良好であり、糖、修飾酵素、リボソームは錯形成によりそれぞれ約6倍、10倍以上、約3倍の蛍光増強をもたらした(いずれも投稿準備中)。 研究全体に関しては、初期に、酵素阻害剤を導入したプローブを用いる酵素の蛍光センシングと、抗生物質トブラマイシン置換色素とトブラマイシンアプタマー(トブラマイシンを認識捕捉するRNA配列)との相互作用を検討した。これらの系における蛍光増強は2倍程度と小さく、特に後者を転写(DNA → RNA)解析(標的遺伝子(DNA)の下流にアプタマー配列(DNA)を配し、転写により生成する融合RNAを色素存在下に蛍光検出し、これにより標的RNAの生成を蛍光モニターする)に有効に応用するには至らなかった。また、抗生物質修飾酵素との相互作用を通じ抗生物質耐性菌そのものの蛍光センシングも検討したが、酵素への色素の取り込みが補因子ATPにより阻害されるという予想外の問題に遭遇した。このように、応用面では解決すべき問題もあるが、蛍光のオン/オフ制御という重要課題に非常に一般的な新ツールを提供できたものと考えている。
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