2012 Fiscal Year Annual Research Report
分裂期キナーゼ機能不全細胞の探索に向けた染色体不安定性誘発試験の開発
Project/Area Number |
23651243
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Research Institution | 公益財団法人がん研究会 |
Principal Investigator |
広田 亨 公益財団法人がん研究会, がん研究所・実験病理部, 部長 (50421368)
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Keywords | 細胞分裂 / 染色体動態 / がん / 分裂期キナーゼ / 異数性 / Aurora B / Plk1 |
Research Abstract |
多くの悪性腫瘍(がん)を構成する細胞は、染色体数が正二倍体から逸脱した異数性を示し、細胞分裂の度に染色体数が変動する染色体不安定性と呼ばれる細胞病態に陥っている。染色体不安定性は、M期における染色体動態の制御を担うシステムという、本来、フェールセーフな細胞機能のロバストネスが低下していることが背景にあると考えられる。従って、がん細胞における染色体動態制御システムの脆弱点を見出すことは、細胞病態に沿った治療を実現するはずである。本研究では、M期染色体動態の制御において必須の役割を担う分裂期キナーゼの機能を評価する実験系を開発することを目的とした。僅かな分裂期キナーゼの活性低下に鋭敏に反応する染色体動態を指標とすることによって、従来の生化学的解析方法では検出し得なかった潜在的な機能低下を捉える。昨年の研究で、分裂期キナーゼAurora BおよびPlk1について発現量依存的に、特的阻害薬の感受性(EC50)が変化することをHeLa細胞において観察して、阻害薬に対する感受性の違いが、細胞内のキナーゼ活性をある程度反映することを示した。本年度は、膵臓がんの培養細胞株4つのラインについて、M期キナーゼ活性の機能を評価すべく、先ずは、ヒストンをGFP標識するためのウイルスベウターを構築した。これを用いて染色体を可視化し、生細胞の細胞分裂の観察を行ったところ、阻害薬に対する感受性(表現型出現する薬剤濃度)の違いがあった。それらの差異は、期待通り、分裂期キナーゼの発現量を概ね反映していた。従って、阻害薬濃度を漸増したときの染色体動態を観察することによって、細胞の分裂期キナーゼ機能の推量できることが判った。さらに細胞表現型の評価方法を検討し、本アッセイの定量的な解析を可能することが次の課題である。
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Research Products
(11 results)