2011 Fiscal Year Research-status Report
金属エノラートを鍵とする新規アフィニティー精製法の開発
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23651244
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
どど 孝介 独立行政法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 研究員 (20415243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江上 寛通 独立行政法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 客員研究員 (50553848)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 金属エノラート / タンパク質 / タンパク質精製 |
Research Abstract |
ケミカルバイオロジー分野において、低分子化合物の結合タンパク質・結合部位の同定は非常に重要な命題の一つである。しかしながら、その手法はいまだ発展途上であり、様々な実験系で用いることできる一般性の高い方法論の開発が望まれている。本研究では、金属エノラートを基盤として新しいペプチド修飾反応・精製方法を検討し、結合タンパク質・結合部位同定に応用できる新規アフィニティー精製法を開拓することを目指す。まず本研究の最初の課題として、水存在下でも安定に存在できる金属エノラートの探索を開始した。生体成分の反応・精製において水の存在は必須であり、水溶液中でも壊れることのない金属エノラートが本研究の要になる。そこで本年度は、まず水と有機溶媒が共存する液相系で、種々の基質と様々な金属錯体を反応させ、その金属エノラート形成を検討した。しかしながら、水存在下では金属錯体の溶解性に問題があるケースが多く、基質・金属錯体共に詳細な条件検討が困難であることがわかった。そこで溶解性の影響を受けない系として、固相担体に金属錯体を固定化した固相系での反応に焦点を絞り、種々の基質を用いて条件検討を行うこととした。この際、反応の進行はNMRでモニターし、エノラート形成が起きているかどうかをケミカルシフトの移動をもとに調べた。その結果、水存在下でも壊れることのない金属エノラートが形成される条件を見出した。今後はこの条件をもとに汎用性の高い基質・標識タグの探索に入る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、液相系で詳細な条件検討を行ったうえで固相反応に展開する予定であったが、液相系で触媒の溶解性に問題があることがわかったため、固相系の検討を前倒しで始めた。その結果、今年度の目標であった反応条件の検討はできなかったが、次年度の目標であった固相系への展開に成功した。さらに、今年度の最大の目標であった水存在下でも安定に存在する金属エノラートを見出すことができた。以上から、年度ごとの研究計画の前倒し・後倒しはあったが、全体としては計画通り進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度見出すことのできた金属エノラートを基盤にして、反応条件の検討を行い、目的とする標識反応の開発を目指す。特に、モデル基質や標識反応の選択においては詳細に検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度に引き続き、金属触媒の原料である金属試薬、固相担体などに研究費を使う。また、次年度ではモデル化合物の原料として種々の合成試薬も購入する予定である。
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