2012 Fiscal Year Research-status Report
金属エノラートを鍵とする新規アフィニティー精製法の開発
Project/Area Number |
23651244
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
どど 孝介 独立行政法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 研究員 (20415243)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江上 寛通 独立行政法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 客員研究員 (50553848)
|
Keywords | 金属エノラート / タンパク質 / ペプチド / タンパク質精製 |
Research Abstract |
ケミカルバイオロジー分野において、低分子化合物の結合タンパク質・結合部位の同定は非常に重要な命題の一つである。しかしながら、その手法はいまだ発展途上であり、様々な実験系で用いることできる一般性の高い方法論の開発が望まれている。本研究では、金属エノラートを基盤として新しいペプチド修飾反応・精製方法を検討し、結合タンパク質・結合部位同定に応用できる新規アフィニティー精製法を開拓することを目指す。 前年度において水存在下でも安定に存在できる金属エノラートの探索を行い、固相担体上で安定にエノラート形成が可能な金属錯体を見出すことに成功している。そこで本年度はアミノ酸をベースにしたモデル化合物を合成し、固相上で金属エノラートを反応させた上で種々の求電子試薬と反応条件を検討した。その結果、金属エノラートを反応させると同時に固相担体から溶出させることに成功した。一方で、求電子試薬に対して各種タグ分子の導入を検討し、固相担体より溶出させると同時にタグ分子の導入も可能な系へと展開することにも成功した。最後に、モデル化合物としてエノール化できない基質をネガティブコントロールとして混合物をモデルとして、金属エノラート形成を利用してターゲット分子を精製後、溶出と同時にタグ分子を導入する実験を試みた。その結果、当初の計画通り極めて高収率でターゲット分子だけを精製・修飾することができ、本研究のコンセプトを実証することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、液相系で詳細な条件検討を行ったうえで固相反応に展開する予定であったが、前年度の検討において液相系で触媒の溶解性に問題があることがわかったため、固相系の検討を前倒しで行った。そのため、今年度は前年度行う予定であった、金属エノラートの反応条件検討をメインに行った。その結果、昨年度・今年度で合わせて当初の計画通りコンセプト実証を2年で行うことができた。以上から、年度ごとの計画の前倒し・後倒しはあったが、全体としては計画通り進んでいると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度でコンセプト実証ができたので、この条件をもとに実際のペプチド・タンパク質の系へと展開することを計画する。具体的にはペプチド混合物より修飾されたペプチドを精製することを目的として条件検討を行う。この際には帰属エノラートが影響を受けるアミノ酸残基を考慮し、種々条件を検討したいと考えている。さらに最終的には、阻害剤で修飾された酵素をモデルタンパク質としてその修飾ペプチドを精製・同定することを目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は金属試薬の購入を予定していたが、研究の中心が金属錯体よりもモデル基質に集中したので、金属試薬に関しては次年度購入することにした。 次年度はさらに各種固相担体の購入も計画している。また、モデル化合物の合成原料やモデルタンパク質の購入も計画する。
|