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2011 Fiscal Year Research-status Report

21世紀「東アジア国際結婚」論の創造-「東アジア共同体」構築の視点から-

Research Project

Project/Area Number 23651255
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

藤井 勝  神戸大学, 人文学研究科, 教授 (20165343)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 平井 晶子  神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (30464259)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords国際結婚 / 東アジア / 多文化共生 / 南北問題 / 国際研究者交流 / 韓国 / 台湾 / タイ
Research Abstract

日本・韓国・台湾で、東アジア内出身の配偶者との国際結婚の現地調査を行うとともに、現地研究者等と共同してワークショップ等を開催し、東アジアにおける国際結婚に対する認識を深めた。具体的には、以下のとおりである。 (1)日本:平成23年8月~9月に、韓国からの研究者を招聘し、さらに豊岡市国際交流協会の協力を得て、兵庫県豊岡市および周辺地域で聞き取り調査を行うとともに、神戸大学人文学研究科でワークショップを開催し、日本・韓国・台湾の国際結婚に関する4つの報告と議論を行った。(2)韓国:平成23年11月に、忠清南道女性政策開発院の全面的な協力を得て、同道の郡部地域で聞き取り調査を実施するともに、同開発院で現地研究者・実務家と共同のワークショップを開催し、日本・韓国の4つの報告と議論を行った。(3)台湾:平成24年1月に、聞き取り調査や資料集収集とともに、高雄市前金新移民家庭サービスセンター、および台北市のNPO「賽珍珠基金会」で実務家・活動家等と組織化された会合を行い、意見交換や討論を詳細に行った。 以上を通じて、東アジアにおける国際結婚受け入れ社会(東南アジア・中国出身の配偶者=妻を受け入れる社会)の実情や問題を個々の社会の問題としてではなく、東アジアの国際結婚という枠組みのなかで捉え直すことが可能になった。各社会の国際結婚にそれぞれの歴史や文化の影響をうけるが、それら個別の事象も最終的には東アジアという全体的かつ構造的な展開の一環に位置づけられることが鮮明になった。 受け入れ社会と対称の関係にある配偶者送り出し社会については、とくにタイについて平成24年3月に現地調査を行った。タイのなかでも農業・農村の比重が高く、出稼ぎや国際結婚妻の送り出し地として有名な東北部(別名「イサーン」)における国際結婚の生成・展開・現状について資料収集を行い、送り出し側の立場や論理への認識を深めることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

予定していた日本および韓国でのワークショップは、十分に成果をあげるものであったからである。とくに韓国のワークショップでは、忠清南道の女性政策開発院からのオファーによって、同開発院と本研究グループの共催という形でワークショップを実施できたために、研究が大いに深まるとともに、今後の研究の発展にとって重要なパートナーシップを確立できた。 また台湾の現地調査でも大きな成果が得られたからである。現地研究者との意見交換だけではなく、高雄市役所社会局の副局長を初めとした専門家・実務家から詳細な情報提供、そして意見交換の機会を与えられた。台北市でも、台湾大学教員の研究協力のもとに、財団法人・台北市賽珍珠(パールバック)基金会において、NPOによる国際結婚支援活動、また国際結婚女性自身による活動を直接観察することができた。つまり短期間の調査にもかからず、台湾の国際結婚に対する認識を具体的かつ飛躍的に高めることができた。 一方、日本については、豊岡市国際交流協会の協力のもとに現地調査をすすめることにより、地方社会における国際結婚の全体像が鮮明になったからである。国際交流協会を結び目として、地域における国際結婚家族の広がりや問題状況が把握可能になった。さらに言えば、韓国や台湾のような行政による積極的取組は日本では弱いものの、地方にある国際交流協会は、活動のあり方によっては、韓国の「多文化家族支援センター」や台湾の「新移民家庭サービスセンター」の役割を担える立場にあることも明らかになった。このことは、日本における国際結婚研究、また今後の国際結婚への政策的対応を考える場合、重要な意味をもっていると思われる。

Strategy for Future Research Activity

平成23年度の所要額の一部を次年度(平成24年度)に使用することになったが、これは、(1)平成23年8月~9月に台湾から招聘する予定であった研究者が日程の都合等のために来日できなかったこと、(2)平成23年度における研究の進行のなかで、次年度(平成24年度)の研究経費が予定した以上に増加することが判明するに至ったため、旅費(とくに海外旅費)の減額等によって節約に努め、支出を抑制したことによるものである。 平成24年度請求の研究費、そして以上の平成23年度の未使用分を用いて、次年度(平成24年度)は、台湾で行うワークショップを軸にしながら研究を効果的に推進することにしている。つまり、平成23年度における現地調査やワークショップをふまえた研究の成果を、平成24年9月に開催予定の台湾ワークショップ(高雄市)に集約する。このワークショップを本研究全体の総括的ワークショップと位置づけ、日本、韓国、台湾における国際結婚の展開をふまえた「東アジア国際結婚」論、そして送り出し側である東南アジア社会からみた「東アジア国際結婚」論をそれぞれの立場から報告し、議論し合うものである。 そして、このワークショップの成果をベースにしながら充実した報告書を作成することにより、従来の研究水準を超える「東アジア国際結婚」論の創造を目指すものである。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

(1)平成23年度と同様、日本・韓国・台湾において「東アジア国際結婚」の現地調査、また従来の国際結婚論の検討を継続するので、それぞれの国・地域における現地調査に対して必要に応じて旅費を充てる。(2)平成24年9月頃に、日本・台湾・韓国のメンバーが台湾で合同の現地調査を実施する。この現地調査では、車の借り上げ代なども必要となる。この現地調査をもふまえながら、「東アジア国際結婚」の総括的ワークショップを高雄市(台湾)において実施する。この現地調査およびワークショップには、日本から6名程度、韓国から1名程度(可能であれば2名)を派遣し、台湾からは3名程度が参加するので、これらの旅費等に充てる。(3)以上のワークショップや現地調査にもとづく研究成果を報告書にまとめるので、その経費に充てる。(4)その他としては、(1)先行する研究書や関連する文献等を購入するための経費、(2)論文や資料の複写費、(3)現地調査や資料整理のための研究支援謝金等の経費、(4)研究成果を学会大会等で発表するための旅費に充てる。

  • Research Products

    (6 results)

All 2012 2011

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 日本の地方社会における中日国際結婚―兵庫県T市を事例として―2012

    • Author(s)
      胡 源源
    • Journal Title

      社会学雑誌

      Volume: 29 Pages: 印刷中

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] タイ東北部における郡(アンプー)の社会史2011

    • Author(s)
      藤井 勝
    • Journal Title

      東北学院大学経済論集

      Volume: 177 Pages: 339-362

  • [Presentation] 東アジアの国際結婚を考える:日本-タイの国際結婚調査から2011

    • Author(s)
      藤井 勝
    • Organizer
      国際ワークショップ「韓国と日本における国際結婚と多文化家庭の実態」
    • Place of Presentation
      韓国・忠清南道女性政策開発院(大田市)
    • Year and Date
      2011年11月12日
  • [Presentation] 現代日本の家族と結婚2011

    • Author(s)
      平井晶子
    • Organizer
      国際ワークショップ「韓国と日本における国際結婚と多文化家庭の実態」
    • Place of Presentation
      韓国・忠清南道女性政策開発院(大田市)
    • Year and Date
      2011年11月12日
  • [Book] 首藤明和・王向華編『親密圏の再考と再構想』の分担執筆「日本の家・再考」2012

    • Author(s)
      藤井勝
    • Total Pages
      印刷中
    • Publisher
      風響社
  • [Book] 笠谷和比古編『18世紀日本の文化状況と国際環境』の分担執筆「東北日本における家の歴史人口学的」(pp.215-232)2011

    • Author(s)
      平井晶子
    • Total Pages
      582
    • Publisher
      思文閣出版

URL: 

Published: 2013-07-10  

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