2012 Fiscal Year Annual Research Report
21世紀「東アジア国際結婚」論の創造-「東アジア共同体」構築の視点から-
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23651255
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤井 勝 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (20165343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 晶子 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (30464259)
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Keywords | 国際結婚 / 東アジア / 多文化共生 / 南北問題 / 国際研究者交流 / 台湾 / 韓国 / タイ |
Research Abstract |
(1)国際結婚の受け入れ社会である台湾・韓国・日本で引き続き調査を行うとともに、国際結婚の送り出し社会である東南アジア、とくにタイにおいて現地調査を実施した。前者のうち、豊岡市(日本)の調査では、国際結婚とともに海外(とくに東南アジア)出稼ぎ労働者の地方社会への流入も視野にいれた現地調査を実施し、国際結婚を含めた外国人と地方社会の関係への認識を深めた。後者の調査では、送り出し側の地方社会の周辺部にも国際結婚斡旋会社が生成していることなどが明らかとなり、国際結婚が新たなかたちで地方社会に浸透しているという理解が深まった。 (2)2012年8月末を中心とする期間に、本研究にとって重要な意味をもつワークショップと現地調査を台湾において実施した。具体的には、①高雄市社会局との共催・支援によるワークショップ(台湾、韓国、日本、中国の研究者や行政関係者が参加・報告)を開催し、また②ワークショップ参加者等が共同で、高雄市周辺部農村地域でタイ・中国大陸部・ベトナムなどの出身の国際結婚女性に聞き取り調査を実施した。その結果、前者では、受け入れ側社会である韓国・台湾・日本における国際結婚の特質や意義に関する認識を深めることができるとともに、後者では、出身の国・地域が異なる国際結婚女性を複数調査したことにより、女性の出身地という要因が東アジアの国際結婚に与える意味について十分整理・把握することができた。 (3)平成23~24年度の研究成果にもとづいて、本研究の報告書である『21世紀「東アジア国際結婚」論の創造-「東アジア共同体」構築の視点から-』を作成した。この報告書は、日本語・英語・中国語の原稿からなる国際性の豊かなものであると同時に、「再生産労働」論、「グローバルな世帯保持」論、「生存維持経済」論なども踏まえつつ、新しい理論的な視点から東アジアにおける国際結婚論の方向性や課題を指し示している。
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