2012 Fiscal Year Research-status Report
イスラム金融を通じたアジア・中東産油国間における経済関係の変化と日本経済への影響
Project/Area Number |
23651259
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
茂木 創 拓殖大学, 政経学部, 准教授 (10407661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 亨 拓殖大学, 政経学部, 教授 (90384700)
木村 正信 金沢星稜大学, 経済学部, 准教授 (50339983)
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Keywords | イスラム金融 / アジア経済 / 日本経済 |
Research Abstract |
本研究「イスラム金融を通じたアジア・中東産油国間における経済関係の変化と日本経済への影響」は、近年、つとにその緊密化が進むアジア諸国と中東産油国の経済関係を踏まえ、その背後に存在する「イスラム金融」の急速な拡大が日本経済にどのような影響をもたらすのか明らかにするものである。イスラム金融は、そのシステムの独自性、複雑さゆえに、今日、イスラム金融が貿易や投資の促進に与える影響は必ずしも明確でない。本研究では、「イスラム金融ゆえの費用の算出」を行うことで、イスラム金融が貿易・投資 に果たす役割を実証的に明らかにし、民間部門のイスラム金融分野への進出リスクを低減させることが可能となる。 平成24年度は、主として先行研究の渉猟、および、資金調達手段としてイスラム金融が果たした役割の実証を行った。研究代表者の茂木は、アジアにおけるイスラム金融の先駆けである、香港にて資料の収集およびヒアリングを行った。また、貿易結合度に関する新たな指標についての推計を行った。共同研究者の立花は、『イスラミック・ファイナンス・ニュース』などからの情報を基にデータベースを作成したり(平成23年度から継続)、クルアーンのデータベース化などから計量的な分析を行っている。同じく木村はイスラム金融を用いた場合と、そうでない場合との比較を動学モデルを用いて考察している。 本研究が明らかにすべき、2点、(i)貿易や投資の促進といった観点から、イスラム金融の役割を実証的に明らかにする。(ii)イスラム金融を用いた場合の取引費用について実証分析を行う、という点について、平成24年度も(i)の点を中心に研究を行ったが、 茂木・立花は、貿易、投資との関連性から、貿易結合度の進化とイスラム金融の利用拡大との関連性について、実証的な分析を継続して行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の研究進捗状況をみると、資料収集については前倒しでできたものの、その整理、入力されたデータの整理、分析等において、やや遅れている。 また、上位の理由から、論文等の作成にも時間がかかっているのが現状である。中間報告を作成する予定であったが、その上梓は、平成25年度、5月上旬となる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して、(i)貿易や投資の促進といった観点から、イスラム金融の役割を実証的に明らかにするだけでなく、(ii)イスラム金融融を用いた場合の取引費用についての実証分析を中心に行う。また、データベースが整いつつある、貿易・投資との関連性について、 平成24年度の上半期には研究成果を論文として発表し、その成果を平易に解説したものを一般向けの書籍として取りまとめる予定である。 また、当初、研究計画として掲げたイスラム金融の頑健性―たとえば、イスラム金融側からしばしば主張される「実物資産の裏づけがあるがゆえに、イスラム金融にはマネーゲームはありえず、従ってリーマンショックもありえない」というような点―について、今 年度はさらなる研究を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度時点で、すでに学部長に内定していた立花や、本務校での入試関連委員会の主要ポストに内定していた茂木は、平成24年度に前倒しして調査を行った。 その分不足した平成24年度費用を平成25年度費用において充当する。平成25年度は研究論文という形で発表することを第一に考えている。
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Research Products
(8 results)