2012 Fiscal Year Research-status Report
世界銀行の援助による日本の農村開発計画の長期的評価とオーラルヒストリー化
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23651260
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤倉 良 法政大学, 人間環境学部, 教授 (10274482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤倉 まなみ 桜美林大学, 総合科学系, 教授 (30458955)
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Keywords | 世界銀行 / 対日援助 / 根釧パイロットファーム / 上北パイロットファーム / 技術伝搬 |
Research Abstract |
文献調査及びヒアリング調査に基づいて、1956年に農用地機械開発公団が世界銀行より借款を受けて実施した機械開墾プロジェクト(根釧パイロットファーム、青森県の上北パイロットファーム、北海道の篠津泥炭地区開墾事業の3サブプロジェクト)の経緯とその各サブプロジェクトがその後の日本の農業開発にどのような役割を果たしたかを明らかにした。 このうち、前二者のパイロットファームは日本政府が計画したものではなく、米国の農業機械会社が世界銀行に提案したもので、世界銀行の主導によって実施されることとなった。パイロットファームはそれまで人畜で行なっていた開墾を大型機械によって短期間で行なうため、入植者は直ちに営農を始めることができた。しかし、分譲された農地は、従来、同地域で適切と考えられていた計画面積より小さかった。一方で借入金が多額であったために、経営に行き詰まり離農する農家が続出した。残った農家は離農した農家の農地を吸収して経営規模を拡大できたため、その後は安定した経営が行えるようになった。現在、二つのパイロットファームは北海道と青森県における中核的畜産地域となっている。根釧パイロットファームの機械開墾方式は北海道の開発モデルとなり、従来の開発様式を一変させた。上北パイロットファームでは、農林省も青森県も畜産業を積極的に振興する意図をもたなかったため、経験が開発モデルとして周辺に伝搬することはなかった。二つのパイロットファームは営農を継続するというプロジェクト目標は達成したが、成果を周辺地域に伝搬させるという上位目標については、根釧では達成されたが、上北では達成できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
関係者とのヒアリング及びオーラルヒストリー原稿はほぼ完成した。根釧及び上北パイロットファームについては、成果を学術論文として発表し、シンポジウムも各所で開催することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度までに得られた成果をもとにしてオーラルヒストリーとして取りまとめを図り、成果をさらに広く発信することとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外での成果発信も視野に置き、最終報告書の作成及びシンポジウム開催を行う。
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