2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23652001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
篠澤 和久 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (20211956)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 脳神経倫理学 |
Research Abstract |
本科研費のテーマは、「脳・時間・責任」を鍵概念として「脳神経倫理学」の検討を行なうことであった。しかし、東日本大震災の影響で研究計画の一部変更を余儀なくされ、結果として、本科研費に関係する研究実績となるのは、以下の2点である。 (1)論理教育における「論理」とは? (2)Tsunami-tendenko as Education for disaster Prevention ── Information, Psychology, Memory, and Bond ──(防災教育としての「津波てんでんこ」を考える ── 情報・心理・記憶・つながり ── ) (1)では、近年富に研究が進捗しつつあるニューラルネットワークについて、そのモデル化を図るための手がかりを考察した。すなわち、脳の「思考」と「論理」との関係を言語の統語論の観点から再構成しながら、論理的思考を涵養するうえで標準的な第一階述語論理をどのように活用すべきかを探った。これは、現在、初等中等教育で試験的な取り組みが行なわれている「論理科」「ことば科」を今後さらに効果的に推進するための基礎理論をなす。 (2)では、津波防災という具体的なテーマに即しながら、責任概念と時間とがどのように関係するのかを論じた。開始当初は、本科研費とのつながりが見てとりにくかったが、情報・心理・責任と時間との連関の一端を取り出すことができた。とりわけ、「津波てんでんこ」という防災指針の観点から時間概念と責任概念を再検討できたことは貴重であった。次年度以降の研究にも有益な視点を提供すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災関連の課題を優先せざるをえなかったため、本科研費のテーマに直結する成果を得ることはできなかった。したがって、「やや遅れている」と自己評価せざるをえない。しかし、「科研費実績の概要」に記載したように、「脳・時間・責任」をテーマとして研究するうえで、申請時には想定していなかった問題を考察できたことの意義は大きく、今後の研究にも有益な視点を提供すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の前半は、「科研費実績の概要」の(1)で浮かび上がってきた「論理」の側面に一応の見通しをつけることを目指しながら、後半では、初年度予定していたアリストテレスの文献精査(とりわけ心理学関係の著作)の遅れを取り戻したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大幅な変更はない。当初の計画通りのもの(物品・書籍・旅費)を予定している。
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