2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23652019
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
五十殿 利治 筑波大学, 芸術系, 教授 (60177300)
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Keywords | 展示空間 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究の眼目の一つであった銀座の私設画廊の研究では、「ブリュッケ」について研究論文を公表することができた。この画廊は短命であったが、その活動はモダニズムの動向との関わりとして瞠目すべきものがあったことを実証した。この画廊の実践としては柳瀬正夢にジョージ・グロッスに関する資料展覧会が広く知られていたが、他の展覧会、とくに瑛九と北尾淳一郎の二人展の目録や芳名帳を公刊したし、さらに開催予告のみ確認されて実現したかどうか不明であるが、ベルリンのイッテン・シューレの練習作品展についても、同時期に来日したエヴァ・プラウトEva Plautとの関わりを調査して、さらにこの画廊の際だった独自性を特徴づけた。 私設の画廊の対極に位置するといえるのが公共的な展示空間であるが、これについても機会を得て、美術館というものへの関心の高まりを背景として成立した東京府美術館以後の展示空間、とくに採光と照明の展開、さらには近代美術館と現代美術館という概念の展開について、研究成果を発表した。 さらに、展示空間の研究について、表現手段を展示する形式や場所を考えることなく選択することはないという立場に立って、史的に観察することを試みることになった。その成果として、代表的な前衛画家(萬鉄五郎、村山知義、長谷川三郎)が撮影した自写像等における肉体を考察対象として1910年代から30年代における展示空間の状況を浮き彫りにしている点を検証することになった。
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