2011 Fiscal Year Research-status Report
美術家インタビューのデジタル・アーカイブ化による戦後日本美術史の方法論的刷新
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23652021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
OSAWA Kei 東京大学, 総合研究博物館, 研究員 (80571231)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | インタビュー / デジタル・アーカイブ / 戦後日本美術 |
Research Abstract |
平成23年度に採択され、戦後日本美術を代表する作家のインタビュー記録のデジタル・アーカイブを目的とする本研究において、一年目は主に準備調査と本研究の核となる作家のインタビューに充てる計画を立てていた。準備調査において、インタビューの対象になる作家の展示図録、書物、およびインタビュー集を徹底的に集めた。また、それぞれの作家の作品について、より具体的な解説を求めるために、当時の制作物(展示案内、チラシ、批評などを含む、「エフェメーラ」)も収集した。これをもとに、約10人の作家を選択し、それぞれに対して行うインタビューのスクリプトを作成した。それと同時に作家と連絡を取り合い、インタビューに向けて画廊見学、アトリエ訪問および打ち合わせを重ねてきた。また、撮影機器のテストを行い、インタビューの具体的な撮影方法及び形式を定めた。実際のインタビューは3度行った。一つ目は舞踏家・麿赤兒氏のスタジオで、戦後日本を代表するダンスについてインタビューを進めた。この場合は、内容が非常に豊かであったため、スクリプトを2部に分け、2回に亘ってインタビューを行った。次に写真家・石内都氏のスタジオにて、初期の作品を実際に目にしながら石内氏の撮影方法およびプリント制作の過程について尋ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画を立てた当初、準備調査を進めながら徐々にインタビューを行うことにしていた。しかし、戦後日本を対象とした全般調査が意外に複雑であったため、それを優先的に進めることにした。その結果、本研究に必要な基本調査はすべて終了し、今後はインタビューに集中的に取り組むことができる。しかし、インタビュー用のスクリプト作成が計画通りには行えず、やく半分しか執筆していない。実際のインタビューは3度に亘って、2つを完成させた。当初、初年度からインタビューを20回も行う目的設定に対して、ずいぶん遅れている。ただ、すべての準備調査を終えたため、残り2年の間、インタビューの遂行に積極的に取り組み、遅れを取り戻し、目的としている約50のインタビューを問題なく行えると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に行った基本準備調査の成果をもとに、24年度にやく35人の作家のインタビューを行う。すでにインタビュー・スクリプトを作成している人を中心にインタビューを進めながら、約25人の作家用のスクリプトを作成する予定である。23年度は調査に大半の時間を充てたため、東京・横浜在住の作家のみを研究したが、24年度から地方の作家のアトリエも訪ねる計画を立てる。24年度中に初年度の遅れをすべて取り戻し、25年度には計画通りに残りのインタビュー、動画の編集、ウェブサイトへのアップロード、およびシンポジウムの開催を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度には主に準備調査を行ったため、予定していた旅費及び人件費の支出が結局なかった。繰り越しされる研究費と24年度の研究費を併せて、調査対象となる地域を東京都外に広げ、積極的にインタビューを行う。それ以外においては、当初の計画通りに研究費を使用する予定である。
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