2013 Fiscal Year Research-status Report
美術家インタビューのデジタル・アーカイブ化による戦後日本美術史の方法論的刷新
Project/Area Number |
23652021
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
OSAWA Kei 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (80571231)
|
Keywords | インタビュー / デジタル・アーカイブ / 戦後日本美術 |
Research Abstract |
戦後日本を代表する芸術家のインタビューを実施する上で、昨年度から「運動」、「団体」や「共同製作」に注目している。今年度は、名古屋市美術館開催の「ハイレッド・センター:「直接行動」の軌跡」展、世田谷美術館開催の「実験工房」展、そして静岡県立美術館開催の「グループ「幻触」と石子順造」展をはじめ、「芸術運動」に注目する歴史的な展覧会が企画され、新たな資料が公開された。それらに基づき、芸術家同士の交流により注目するように、インタビューのスクリプト作成、そしてインタビュー対象のリストを見直した。なお、多くの芸術家がすでに亡くなっているため、関係者の間接的な「証言」を収録することが予想以上にあった。 これらの資料調査に伴い、東京以外での局地的な研究を行ない、都会以外での芸術家の交流、そして芸術運動の組織構成について調べた。いままで十分考慮していなかった、地理的な観点が重要であり、今後もインタビューを行う際に主張すべきだと考えた。 なお、アーカイブのデジタル構築について、インタビュー動画を纏めて公開できるように技術的な問題を処理し、準備を進めている。具体的には、和英バイリンガルのウェブサイトを設け、各インタビューにおいてキーワードを関連づけることにした。これによって、国内外の研究者が検索をかけて、動画の内容を予め把握することができるようになる。インタビューの実施、編集および公開プロセスが遅れているため、当初予定していた英語字幕はウェブ公開時の段階で実施できない可能性が高い。それを補うためにも、キーワードのインデックス化を徹底する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度と同様に、インタビューの実施が全体的に遅れていてるため、研究期間をもう一年延長することになった。各インタビューに向けての資料調査およびスクリプト作成が完了しているに対し、インタビューの実施がなかなか進まない状況である。そのため、最終年度はインタビューの実施および編集を徹底する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度と同様に、今年度前半において、作成してきたスクリプトをもとにインタビューを徹底的に行う。2014年末まで、少なくとも10のインタビュー実施を目標とする。2015年に入ってから、その編集を集中的に行い、年度末に一般公開し、シンポジウムを企画しインタビューの形式および方法論について評価を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画を立てた際には、インタビューの実施にカメラマンおよび助手が必要であると考えていた。しかし、高性能の小型カメラを使用し、研究者一人で芸術家を訪問することが可能であると判断した。そのため、未使用の人件費が残った。 また、地方で予定していたインタビューが予定通りに行われなかった結果、旅費も一部未使用である。 今年度前半において、地方でのインタビューに旅費を充てる予定である。 未使用の人件費は、年度末に開催するシンポジウムに充てる。また、動画の編集作業が遅れる場合、編集担当の助手にその作業を依頼し、人件費を執行する。
|